その17 ページ18
英智「ははは、やだな。ただ褒めてるだけじゃないか。ま、そうだね。回りくどいことはやめよう。単刀直入に言おう。Aちゃん。今度のドリフェスで、期間限定で「アイドル」として、参加してほしい」
A「..へ?」
斑「..断る」
英智「君に拒否権はないよ。三毛縞くん。それに、僕が聞いてるのは君じゃない。」
A「え、と」
斑「ん?俺はこの子の保護者であり、言わば俺がこの子の事務所だ。よく言うだろう?この子に用があるなら、事務所を通せってなあ!それに、聞かずとも答えは出てる。この子が、ライブをする理由も、期間限定にしても<アイドル>になる理由もない。」
と、三毛縞はAの手を握る。英智に「アイドルとして参加してほしい」と言われてから、身体中の温度が一気に下がった感覚と、手の震えが止まらなかった。それを見かねてなのか、三毛縞が手を添えて握る。
英智「全く、こまった親御さん?幼なじみだねえ?Aちゃん」
斑「はは!俺は皆のママだからな。この子は特に、かわいい愛娘なんだ♪だから、うちの子をいじめるなら、相手が英智さんでも、ママが許さないぞお」
A「...。」
どうしよう。三毛縞さんの顔と英智さんの顔を直視できない。今、どっちかの目を見たら、メデューサの目に睨まれるがごとく、銅像のように動けなくなってしまうだろう。こわい。とにかくこわい。
英智「はあ、人の話は最後まで聞こうよ。僕は別に、Aちゃんをとって食おうというわけじゃない。それに、なんも見返りもなしにこんなことを頼むわけないだろう?」
斑「どういうことだ?」
英智「Aちゃんが今日、ここに呼ばれると事前に聞いたんだろう?敬人あたりに」
斑「!」
英智「ふふ、Aちゃんが僕に呼び出されると聞いたら、動くはTRICKSTERだけじゃない。<保護者>の君もくることは、お見通しだったよ」
斑「..相変わらず、やり口が汚いな。我が校の皇帝はどのは。どうやら、新生の星たちに断頭台で処刑されるだけでは足りないらしいなあ」
A「ど、どういう..」
恐る恐る顔をあげると、正午の太陽の逆光で目の前に座る皇帝は、目を怪しく光らせながら、にこっと微笑む。
英智「おやおや、かわいそうに。子猫のように震えて。」
斑「!Aさん、このお茶を飲んで少し落ち着こう。」
A「あ、はい..。」
斑に進められるまま、カモミールティーを一口いただいたつもりが全部飲んでしまった。
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作者名:Luna | 作成日時:2022年3月16日 20時