ピアノ85 ページ44
あの日から私たちは、同棲を始め約1年がたった。
以前も同棲していたようなものだといえばまあたしかにそうだけど;
今は、ももくんの家に一緒に住んでいる。
婚約会見はしなかった、公にするといろいろ面倒なのが芸能界だ。
いつもと変わらない生活。
唯一変わったことは、顔を合わせない日がないということだ。
幸せな日々が続く、だけど。
気がかりある。
それは、東京音楽芸術祭の前日のこと。
なにかがおかしい…。
「ねえ、ももくん?」
百「ん?」
「なんか、最近のTRIGGERおかしくない?」
ふたりでいつものダイニングテーブルの前に座り、ももりんを飲みかわす。
なにもなければいい。
だけど、松雪は胸騒ぎがしてならないのだ。
百「なんでそう思うの?」
「なんか冷たいんだ。疲れてるとかならいい…だけど、がっくんも、龍も、天ちゃんも。反応が淡白なんだ、まるで遠ざけてるみたいに」
百「…」
近頃のTRIGGERは、松雪を避けていた。特に天の松雪への対応はひどいもので、
松雪の仕事外での呼びかけに無視するなんて最近では当然のことになっていた。
「3人とも大切なことは顔にでないタイプだからわからないけど、心配だよ。」
百「…っ、」
なんとなくことの状況を把握していた百は、松雪を巻き込まないために、
彼女には今のTRIGGERの置かれた状況を話すことをしなかった。
現在のTRIGGERは以前とは違う。
間違いなく、月雲了に目をつけられてしまった、と。
だけど、それはまだ確定事項ではなくて、まだ取り返すことができる未来かもしれないから。
百がAを巻き込みたくない。
その気持ちから話さないのは言うまでもなかったが、
Aに伝えることを誰よりもはばかったのは紛れもなくTRIGGERの三人であり、
中でも、強くそう願うのは間違いなく九条天であったのだ。
黙っていることは百にとっても、苦行であったが、
"巻き込みたくない"
"巻き込むくらいなら、俺たちが嫌われた方がいい"
あの強い決心を前にしたにも関わらず、話すだなんて野暮ってものだ。
あの三人のまっすぐな瞳を彼は今でも忘れられないのだ。
だけど、運命の日はそこまで迫っている。
そして、松雪は転機を迎えることとなるのだった。
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湊(プロフ) - りんさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません(´;ω;`)最終章では、天ちゃんとの絡みが増えるかと思います。是非、天と百、二人を応援していただければと思います。ももちゃんもめっちゃ頑張る予定なんで。笑 コメントありがとうございました! (2017年10月8日 10時) (レス) id: cf888fb209 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。忙しい中素敵なお話を書いて下さってありがとうございます!通知を受け取る時からドキドキしてます(笑)天ちゃんと百くんのライバル関係ハラハラする展開がありとても良かったです。百くん頑張れ!って心の中で応援しちゃいます!また続き楽しみにしてます (2017年10月7日 17時) (レス) id: 582f0542f6 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - りんさん» こんばんは!はい、覚えてますとも!(`・ω・´)楽しみにしていただいてるんですね、ありがたいです( ;∀;)わかりますっ、学生時代にいろいろ伝説作ってる思うんですよー。笑 思いつく限りは更新していくと思うので!よろしくお願いします! (2017年10月4日 23時) (レス) id: cf888fb209 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんばんは!早速読ませて頂きました。前回のコメントで私のことを覚えていて下さって嬉しかったです!最初からずっとにやけっぱなしでキュンキュンしながら読むのが最近の楽しみです。学生時代の甘酸っぱい思い出がまたいいですよねー!また続き楽しみにしてます(*^^)v (2017年10月4日 20時) (レス) id: 582f0542f6 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - Rennさん» さっそく読んでいただき嬉しいです(*´ω`*)かわいいって言ってもらえるのが最高のほめ言葉です。笑 これからも、よろしお願いします(*´ω`*) (2017年10月3日 19時) (レス) id: cf888fb209 (このIDを非表示/違反報告)
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