【募集企画】あるマスターの日常 -第二幕-【派生作品】

■94話　視点:ルイス・スタインフェルド ページ45

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　アルトリアの様子がおかしい。

ギルガメッシュ王とのじゃれ合い、と本人が聞いたら真顔で違うと言いそうだが、そのあと自身の足で最後のたい焼きを踏み潰してアルトリア自身のチャームポイントでもあるあほ毛を引っこ抜いてしまってから何かが違うような気がする。

「…なぁルイス、アルトリアなんか…おかしくないか？」
「樹くんもそう思うのか…」

コタツという名称の東洋の素晴らしい発明品に心地良く足を入れながら、隣の樹くんがアルトリアとギルガメッシュ王を尻目に見て俺にそう耳打ちしてくる。

やはり彼の目から見ても今のアルトリアの様子は普段と違うということがわかるらしい。

「なんだろ、嫌な予感がするな」
「嫌な予感？」

それは何かと問おうと、アルトリアから樹くんへと視線を向けた瞬間である。

「！？」

とてつもない魔力を感じてその方向に視線を向けると、先日ギルタメッシュ王の挑発された時に見たあの槍を片手に持っているアルトリアがそこにいた。

違う点を上げるとしたら、表現が正しいかどうかは不明だが光をまとっているのではなく闇を纏っているところだろう。

「頭でもイかれたかセイバーのランサー、たかだが菓子の一つや二つでそのように宝具を出しよって。そう簡単に奥の手を出すと先が思いやられるぞ？ それとも我(オレ)が最高級の菓子でも用意してやれば気がするというのか？」
「…あのたい焼きの、食べられることもなく散ったその無念。今ここで晴らしてやる。年貢の納め時だ、覚悟しろ賢王」

部屋中に満たされている禍々しいまでの魔力に冷や汗が出る。

アルトリアの魔力によって巻き起こされている風により、既に綺麗に片付いていた樹くんの部屋は散らかっている。

普段のアルトリアなら、騎士道精神を重んじるアルトリアならこのようなことは絶対しない。

ゆえにこれは異常だ。

「アルトリア、落ち」
「突き立て」

槍がけたたましい音を立てながら回転をし始めたために静止の声はアルトリアには聞こえない。

黒く不気味に光る何かを纏った槍を、宝具を解放し放とうとしているアルトリアを見て考えるより先に令呪がある手をアルトリアに向けた。

「令呪をもって命ずる！」
「喰らえ！ 十三の牙！」
「アルトリア！！ 止まれッ！！」
「最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)！！」

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