【短編集】お気楽主が今日も手強い【派生作品】 (ページ6)

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03：降臨ページ6

視点:山姥切国広

コイツ…もとい、深山静稀も"神貰"を持つ存在。そして、洒落にならないというのは、コイツの能力に由来する。

そう、奴の"神貰"は、"夢を操る能力"。つまりは、他人の夢に入り込むことができるなんていうなんともコイツらしい空気の読めない能力なのだ。

それに加え、コイツは自分の能力を制御できないときた極めつけの問題児。

そんな奴が"夢にお邪魔する"だなんて口にするのはもう宣言にも近い行動なのだ。

｢おい、それでまさか本当に夢に入るようなことになったんじゃ…｣

と、つい会話に入ってしまえば｢おやおやおや｣と声を合わせ俺になんとも言えない視線を向けてくる2人。

どうしていつもいつもこうなってしまうのか。
※遊ばれてるだけです。

｢なになに、まんばちゃん、僕の話しに興味あるんだー？つか、心配までしてくれて…やっぱり、まんばちゃんは優しいよなぁ｣

｢山姥切さんてば水くさーい！と、い、う、か！静稀てばそんなこと山姥切さんに言っちゃだめだよ、照れちゃうんだから〜。ほら、もう顔真っ赤になってる｣

｢えっ、まじ？！まんばちゃん…？｣

｢だ、誰が…そんなっ…！｣

｢またまたぁ、嬉しいくせに〜｣

"かわいいなぁもう、まんばちゃんは！"なんて頭を無性にわしゃわしゃ撫でられれば、もうこの笑顔を前に抗う術なんて俺にはない。

｢本当にまんばちゃんて素直な良い子だよなぁ。さすがりっちゃんの自慢の子だな｣

このとき俺は見たのだ。
朗らかに笑ってみせる静稀の背後に立つ黒い影を。

おかしいだろ…俺より本来小さいはずのお前が大きくみえるのだが…

｢へぇ、それって僕が素直さのない悪い子ってことー？｣

｢んー、やっさだはもうちょい素直になっていいと思うんだよな。あとは笑顔が足りない、もっと笑っていい｣

お、おい。こいつ、後ろに立っている"当事者"に気づいていないのか…？やはり、阿呆か、ただの…！

どこからともなく気配なくして現れたがそれもきっと出身故…ということなのだろう。

それにしたって、安定を包み込むオーラがただ事じゃないぞ…？

なんて呑気してるうちに、"ボク、1抜けた！"なんて慌てた声と共に立ち上がる乱にハッとする。

不味い、俺もここから去らねば。と、立とうとしたそのとき。メキと肩口が軋む音に息をのむ。

｢山姥切、どこに行くのさ。まだ話しは終わってないんだけど｣

｢俺は話すことはなにもない…！｣

｢いいから、座れ｣

静稀…っ、絶対許さん…！