【短編集】お気楽主が今日も手強い【派生作品】 (ページ4)

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01：神出鬼没の男ページ4

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「はぁ…なあ、僕のなにが悪いんだと思う？」

「そ、そんなこと、俺に聞くな…！」

「まー、そう言わずにさー」

とある本丸の軒先。従来ここにいるべき審神者が日中の業務のため本丸を留守にした間を狙ったか、
それとも単なる偶然か、深山の侵入を許してしまったことがコトの始まりであった。

本来ここにいるであろう審神者…もとい、花染利津(はなぞめりつ)、通称"りっちゃん"は、
まさに深山とは対極にいる人間であり、ザ・仕事人間。

日中は医師としての勤めを果たし、そして夕方より本丸に戻り夜を明かすそんな彼の好意に甘えてか、
日中ここを訪れることは少なくない。

深山曰く、"留守番役"を買ってでてるということだが、実のところどうかは謎である。

だが、不思議と馴染んでいることもまた事実といえるのだろう、こうして、侵入を許しているわけなのだから。

ところで、先程から深山の犠牲…相手となっているこの刀剣男士は、花染の近侍である山姥切国広であるわけだが、二人の相性はある意味最高、ある意味最低であった。

「まんばちゃん。僕ってそんなに魅力ない？なんでこんなに女運がないんだろう」

「それより、静稀！安定はどうした、一緒じゃないのか？」

「…ぐっ、気にしなくていい。やっさだの名を今、唱えちゃだめだ…フラグになったらどうするの？！」

「おい、まさかまた仕事を放り投げて逃げてきたのではないだろうな？今すぐ、帰れ。今すぐだ！でないと、安定の説教に俺まで巻き込まれる…！」

自身の布を掴んで離さない深山とどうにか逃れようともぞもぞ動く山姥切。

傍からみると大分、仲の良い様子に見えたのかその場に乱入する男士が１人現れ、少し高めのトーンで声をかける。

「静稀だー！なになにいつから来てたの？静稀が来てるなら教えてくれればよかったのに！山姥切さんの意地悪。独り占めしたかったんでしょー！」

「乱か…どこをどうみればそう見えるんだ…。頼むから助けてくれ、一刻も早くこの男から離れたい…」

「お？乱ちゃんだ！久しぶり、この前は会えなかったから寂しかったよ。出陣だったんだって？」

「そうそう、出陣！僕も会いたかったんだ。この前の"どきどき作戦"の結果が聞きたくて！」

そんな会話が繰り広げられれば、山姥切の諦めもついに境地まできたか自由が効くようになった体を動かし、
厨へとお茶を淹れに向かうのだった。