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■41話 視点:ルイス・スタインフェルド ページ42

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 先を歩けば背中から服を握られた感覚が有ったので止まると、リリーさんが小さな声で話し出す。

「こんな唐突の訪問をっ、申し訳ありません。はしたないことだということは理解はしていたのですっ」

背に感じる温もりに、そのような些細なことなど気にしなくてもいいのに…と思いながら彼女の名前を呼べば、怒られると感じたのか背後で少し萎縮しているのを感じた。

「リリーさん、」

だから俺は振り返ろうとするのだがどうやらリリーさん、ぴったりと俺の後ろにくっついているらしい。

まるでダンスをするかのように、その場をくるくると回るような形になってしまった。

リリーさんのなんとも可愛らしい行動についつい笑みが出てしまう。

「?」
「いえ、随分可愛らしいことをなされると思いまして…」

首を後ろに極力向けながら言えば、潤んだ瞳と目が合った。

「御安心ください。怒っておりませんよ」
「…ですが」
「むしろ、まさかここでリリーさんと出会えるとは思ってもおりませんでしたのでとても嬉しく思っております」

顔を赤くして、だがその顔を俺から隠すように両手で覆ったリリーさんはそのまま俯いてしまった。

彼女が掴んでいた俺の服を離してくれたお陰でようやく振り返ることができる。

「リリーさん」

目線が合うように少し屈んで、リリーさんの名前を呼べばそろりと指と指の間から目が合うので彼女に問う。

「リリーさんは、私と会えて嬉しく思われなかったのでしょうか?」
「ッそんなことありません!」
「ならよかった」

安堵の笑みを浮かべれば、リリーさんはまるで顔から火が吹くのではないかというくらい赤くなってとうとう俯いてしまった。

両手は確りと俺が肩に掛けた上着を落とさないように胸の前で押えているのが随分可愛らしい。

くすりと笑ってから、右手をリリーさんに差し出した。

「お手をどうぞ、リリーさん(マイ・レディ)?」

恐る恐る手を重ねてくれたのでそっと握り返し、樹くん達が向かったであろう食堂の方へとリリーさんの歩調に合わせるように、極力ゆっくりした足取りで向かった。

■42話 視点:ルイス・スタインフェルド→←■40話 視点:ルイス・スタインフェルド



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新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» 見に行ってみます (2019年10月9日 20時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» uranai.nosv.org/u.php/hp/hyuuga075 御姉妹のイメージとしてはこちらとなります。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: 1e7455f34a (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» 無理なら、次女の容姿はどんなのか聞きたいです。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» お気遣いありがとうございます。いえいえ、そこまでしていただかなくてもよろしいですよ。なんとか自分で無から有を産み出せるように努力してみますので。ご提案ありがとうございました。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: 1e7455f34a (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» それなら、自分が書きましょうか?次女の容姿がわかれば書けますよ。 (2019年10月9日 15時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翔べないペンギン/湊 | 作者ホームページ:なし。  
作成日時:2019年9月24日 22時

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