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短編 世話好き兎 ページ15

「あなた達まだ付き合っていないんですか」

「う、うん」

やれやれと銃兎くんは首を振った。
二人でお茶しているとやはりこの話題になってしまった。

「はぁ、お互い気持ちが同じ事くらい鈍感なAさんでも分かっているでしょう」

「鈍感ではないと思います」

「あの左馬刻が珍しく慎重ですからね」

「そうなの?」

「ほら分かっていない、それが鈍感というんですよ」

「もーうるさいなー」

「掛けをしましょう」

「掛け?」

「今から左馬刻に電話をして好きかどうか聞いてみるんです」

「答えるわけないよ」

「では“好きと答えない”がAさんの答えですね?」

「はい」

「では俺は“好きと答える”にしましょう」

「何を掛けるの?」

「俺が勝ったらタバコ1カートンで構いません」

「いいところついてくる値段のものを」

「Aさんはどうします?」

「1ヶ月私のタクシーになる」

「いいでしょう」

左馬刻くんを探してコールした。

『もしもし』

「もしもし、Aです」

『おう、どうした』

「うん、えっと、話があって」

『なんだよ』

私がモジモジしていると銃兎くんは「は・や・く」と口を動かした。

いつもなら既にキレている左馬刻くんだけど今日は妙に大人しく聞いていた。

「私のこと、どう思ってる?」

『どうって……』

「そうじゃないでしょう?」と銃兎くんは小声で耳打たした。

「だから私のこと好きかってこと!」

『でけぇ声出さなくても聞こえてるっつの……あー好きだから安心しろ』

「あ、ありがとう」

前を見ると銃兎くんは口を手で多いながら肩を揺らしていた。

「ふっ、フフフ、こんなに上手くいくとはククク」

「まさか銃兎くん」

『銃兎?一緒にいんのか』

「左馬刻くん私達はめられたかも」

『……そういうことかよ銃兎に代われ』

「左馬刻にはAさんから電話があったらちゃんと伝えるようにと言っておいたんです」

「デキレースじゃない……左馬刻くんが電話代われって」

銃兎くんはスマホを一度耳に当てたが声を無視して通話を切った。

「あ」

「さて、掛けの結果ですがAさんの負けですね」

「ねえ、私が好きと答えるを選択してたら?」

「それはAさんにとって良い結果、俺にとっても計画を立てたかいがあったという事で」

「ずるい」

「タバコ買っていただきましょうか」

「仕方ない、2カートン買ってあげる!」

銃兎くんは目を丸くした後優しく笑った。

「末永くお幸せに」

終わり ログインすれば
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設定タグ:ヒプマイ , 碧棺左馬刻 , ヨコハマ   
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チミ(プロフ) - 曇天に笑うさん» 小説を読んでいただきありがとうございます。曇天に笑うさんの仰る通り「佐」となっていた箇所が複数ございましたので訂正致しました。ご指摘ありがとうございました。 (2020年4月14日 15時) (レス) id: 45074b8498 (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - 佐馬刻の佐が違う左だけど (2020年4月14日 13時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:那賀川かがな | 作成日時:2019年9月24日 2時

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