4.これから ページ8
時間も遅いし、ジャケットの撮影は後日で。
社長からの言葉にそうですね、と頷けば今日はお開きになった。
ナゴヤの撮影を全て俺にやらせて欲しい、と次の打ち合わせで社長にお願いした。
「なんで?」
「たぶん、その方がいいと思うんです。俺なら誰よりも彼らの美しさ、っていうか輝きを引き出せる」
「まぁ、そうかもなぁ。SNSなんかでコメントを見ると、表情が冴えてるみたいなものも多いし。特に空却とかなぁ。……君達、自分ではどう思う?」
「あー、いや、拙僧からはなァ……」
現像した写真や、ネット上の評判をプリントアウトした紙を眺めていた空却は、もごもごと口を濁すばかりであまり意見を言わない。
耳の付け根がうっすらと赤い。
「わりィな、なんか……こういうの、慣れてなくて。拙僧らなんて、ナゴヤで彷徨いてても誰もなんも言わねぇし。そーゆーのに、付加価値っつうの?たった一枚の写真で特別に出来ちまうっつうのが、本当すげェなって思う」
「じゃあ3人はさっちゃんの意見に抵抗はないんだね」
俺はいいと思う。獄さんの呟きに、俺もっす。と十四くんが続けて頷く。
「おう、さち。拙僧らがグチャグチャ考えるより、さちが見て、考えてくれた方が良いぜ」
血の匂いが充満した、母の姿を思い出す。
腕組みをしてなにか考え込んでいた社長が、ちらりと目を動かしていた。
「なんだよ、意味深だなぁ。君達交流有ったの?」
「いーや全然、撮影以外で会わねぇよ」
「ふーん」
よく分からないとばかりに首を左右に振り、社長は少し困った口調で言った。
「まぁ、親しくなるのは良いけど仕事に徹するようにな。君達がもしも、必要以上に関わるようになったら、必ず見る側には分かる。ナゴヤへの夢を膨らませてファンからお金を貰う以上、それは重大な裏切り行為だ。作品も濁るし、現場も淀む。良いことなんかなににもないぞ」
「分かってますよ、そんなの。俺なんてもう学生の頃からこの業界をみてるんですから、馬鹿にしないでください」
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守澪 、 - Mad Sick Bad*さん» 閲覧 、コメントありがとうございます 。空却くん良いですよね 。公式のかっこよさを小説で表現し 、惚れて頂けて嬉しいです 。もう少し続けていこうと思うので 、これからも宜しくお願いします 。 (2020年1月20日 19時) (レス) id: f62cf8cecd (このIDを非表示/違反報告)
Mad Sick Bad* - 空却くん可愛いし綺麗だし、格好いいなァ。惚れ直す。 (2020年1月19日 18時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:守澪 、 | 作成日時:2019年12月18日 20時