11.逃避 ( ※嘔吐描写有 ) ページ20
吐きそう。
事務所に向かう電車の揺れが内臓をがんがん揺らす。
前社長が残した唯一の仕事は時間を掛けて良いものにしたい、という所内からの意見に、頭を使わず頷いたのは昨日の事。
まるで、粗雑なもので心臓を逆撫でられているかのような不快感が末端へと広がっていく。
撮りたくない。
思考を占領する言葉が脳内を掻き乱す。
バカげた甘い考えにじわじわと染まっていく。
もう撮りたくなかった。
耐えるにも限界に近づいた、やばいと思い、知らない駅で降りて、トイレの個室へと駆け込む。
背中が波打つ。
げほ、と嗚咽交じりの咳が喉から漏れていく。
俺は、ぐ、と2本の指を纏めて喉奥へと差して弱った体を過敏に刺激した。
食道を液体が上がってくる感覚に、余計に吐き気を感じた。
うえ、と口内に酸っぱく慣れない匂いが侵入し、気持ち悪い、と思う間もなく開いた唇から吐いた。
液体の跳ねる音とえずく音が個室に響く。
朝食も、水も、感情も、全て吐き出したかった。
落ち着いた、と感じ顔を上げずに吐瀉物を流してしまえば指を引き抜き深く呼吸をする。
個室を出て、唾液と吐瀉物に濡れてらてらと卑猥に滑る手を入念に洗った。
要らないものは全て洗い流してしまおうと、指が切れるまで洗った。
駅を出ると、撮影開始まで後5分となっていた。
間に合わないだろうな。
そう判断すれば、新しく追加された社長という言葉を追って休みの連絡を入れた。
逃げてしまいたかった。
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嘔吐注意って言った割にあんまり吐いてないですね。
作者の力量が足りなかった、もっと綺麗に切なく書きたかった。
そして、私へ。
そろそろ遅筆を自覚して、書き溜めして、明日の私を苦労させない努力をしよう。
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守澪 、 - Mad Sick Bad*さん» 閲覧 、コメントありがとうございます 。空却くん良いですよね 。公式のかっこよさを小説で表現し 、惚れて頂けて嬉しいです 。もう少し続けていこうと思うので 、これからも宜しくお願いします 。 (2020年1月20日 19時) (レス) id: f62cf8cecd (このIDを非表示/違反報告)
Mad Sick Bad* - 空却くん可愛いし綺麗だし、格好いいなァ。惚れ直す。 (2020年1月19日 18時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:守澪 、 | 作成日時:2019年12月18日 20時