ー3 ページ16
那賀子は姿勢を正し、上半身を十五度倒し、ゆっくりと姿勢を直した。
那賀子(…フン…わたくしの洗練された会釈に嘸かし驚いた事でしょう…)
講師「続きまして真伊子様、わたくしの申した通りに会釈をして下さい。」
ru「はい。」
真伊子は姿勢を正し、上半身を十五度倒し、其の儘の姿勢で静止した。
那賀子「…はっ！…」
那賀子は��はっ��とした。確かに講師は姿勢を直せとは言って無かった。
講師「真伊子様、素晴らしい会釈です。失礼ですが幼少時からお妃教育をお受けしていらっしゃいましたか？」
ru「…いえ…お恥ずかし乍ら受けた事は御座いません…。」
講師「左様で御座いますか。でも此の調子ですと直ぐにでも妃殿下として皇室にお入り出来そうで御座いますよ。」
ru「いえ…滅相も御座いませ…」
那賀子「先生！真伊子さんばかりでは無く、わたくしは如何でしたでしょう？わたくしは幼少の頃よりずっとお妃教育を受けて参りましたの。」
講師「…ふぅ…先ず…講師で有るわたくしの話を良く聞かない、共に学ぶ筈の真伊子様に対抗心を露にする、人を見下す…那賀子様、此れでは国民に示しが付きません。国民に寄り添う皇室に貴女様がなさらなければならないので御座いますよ。今の様に真伊子様がお話になっていらっしゃるのを遮って迄ご自分を前面に推し出すお考えも行動も間違っていらっしゃいます。」
那賀子「…なっ…」
講師「幼少時からお妃教育をお受けになっていらっしゃる那賀子様でしたら、其の位は御存知かと思いましたが如何で御座いますか？」
那賀子「…くっ…」
ru「先生、那賀子様は立ち姿も会釈もお美しくていらっしゃいましたし、余裕と気品が感じられました。
わたくし等那賀子様の御足元にも及びません…」
真伊子が那賀子を庇う様に語った。
那賀子「…フン…」
松平は初日から那賀子の扱いに嫌気が差していた。
講師「以上を持ちまして本日の講義を終了させて頂きます。」
ru「有難う御座いました。」
那賀子「有難う御座いました。」
宮内庁職員室
職員「松平先生、お疲れ様で御座いました。如何で御座いましたか？」
松平「真伊子様は本当に素晴らしいお方でした。
お妃教育をお受けになっていらっしゃらなくとも、きちんとノートに大切な箇所を書込み、わたくしの話も熱心に耳を傾け、御作法も完璧に熟していらっしゃいました。…ただ…」
職員「…ただ？」
松平「那賀子様は…先が思い遣られます。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥太郎(プロフ) - 瑠羽さん» 遅くなってしまいましたが、感想送って頂きありがとうございます。初めて感想頂けて嬉しく思います。大正時代をイメージしている為、漢字が多く読み辛いかと思いますが、最後までお付き合い下さい。宜しくお願いします。 (2022年6月3日 22時) (
レス) id: 33658090bc (このIDを非表示/違反報告)
瑠羽 - 百年の恋、楽しく読んでおります！古典的な物語はあまりお目にかからないので嬉しく一つ一つ噛み締めながら読んでおります♪長編は大変かと思いますが執筆頑張ってください！！応援しております♪ (2022年5月19日 10時) (レス) id: a4808147f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥太 | 作成日時：2022年5月1日 11時
