ー5 ページ12
二月十七日 御進講初日
徳山邸 那賀子の部屋
那賀子「ちょっと！天照の瞳の指輪を嵌めないと出掛けられないに決まってるでしょ！！そんな事も分からないの？早く持って来なさい！！」
使用人「も…申し訳御座いません…」
那賀子「門の外で記者達が待ち構えて居るのよ？天照の瞳を身に付けて手を振らないと格好が着かないでしょ？」
使用人「お…お嬢様、お待たせ致しました。」
那賀子「もう！真伊子が先に着いて居たら如何するのよ！次も又忘れたら、暇を取らせるわよ！」
使用人「気を付けます…」
篤子「まぁ那賀子、御進講の初日から大騒ぎするのではありませんわよ！」
那賀子「お母様！あの者が天照の瞳を付け忘れるんですもの！」
忠斉「那賀子、時間は大丈夫なのか？御進講の初日から遅れたら大変だぞ！」
那賀子「大変！！真伊子に先を越されて仕舞うわ！」
篤子「那賀子、真伊子さんを呼び捨ててはいけませんわよ。」
那賀子「ふん…わたくしの方が立場は上ですわ。」
忠斉「那賀子、馬車が待って居るぞ。」
那賀子「まぁ大変！お父様、お母様、行って参ります！」
忠斉 篤子「行ってらっしゃい。」
使用人「行ってらっしゃいませ。」
忠斉「ふぅ…やっと出て行ったか…しっかりやってくれると良いのだが…」
篤子「那賀子は真伊子さんを甘く見過ぎでは有りませんか？」
忠斉「確かに…真伊子殿は仙女か天女か、将又女神かと言う程…とても此の世の者とは思えない絶世の美女だし、今の日本の学生一の頭脳を誇る向井小路亮平君から勉強を教わって居る才女だし、乗馬も舞踊もこなす程運動も出来るし…残念乍ら那賀子は何一つ秀でる物は無いぞ。」
篤子「わたくしもデビュタントで一度御見掛けしましたが余りの美しさと優雅さに扇を落として仕舞いましたわ…
其の上学業にも秀でていらっしゃるなんて…」
忠斉「まぁ、那賀子が唯一勝てるとしたら…家柄位だろうからな…」
篤子「真伊子さんが現れる迄は那賀子が一番だと思っておりましたので…わたくしも油断しておりましたわ…」
忠斉「那賀子も真伊子殿も、納采の儀が済んだ事だし、先ずは一安心と言った処だ…天皇も皇后も那賀子との婚姻に乗り気だったでは無いか！」
篤子「そうでしょうか…だと良いのですが…
…わたくし、何か嫌な予感がしますわ…」
忠斉「其の様な…縁起でも無い事を申すで無い！」
篤子「…はい、旦那様…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥太郎(プロフ) - 瑠羽さん» 遅くなってしまいましたが、感想送って頂きありがとうございます。初めて感想頂けて嬉しく思います。大正時代をイメージしている為、漢字が多く読み辛いかと思いますが、最後までお付き合い下さい。宜しくお願いします。 (2022年6月3日 22時) (
レス) id: 33658090bc (このIDを非表示/違反報告)
瑠羽 - 百年の恋、楽しく読んでおります！古典的な物語はあまりお目にかからないので嬉しく一つ一つ噛み締めながら読んでおります♪長編は大変かと思いますが執筆頑張ってください！！応援しております♪ (2022年5月19日 10時) (レス) id: a4808147f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥太 | 作成日時：2022年5月1日 11時
