おいで、一緒に暮らそう。2

始 ページ38

ﾋﾟｰ!!


ホイッスルの大きな音が鳴って、試合が始まった事を自分らに伝えてくれる。



「望ー！」


「がんばれー！！」


照史に渡されたビデオカメラを構え、応援する。
隣からは、一生懸命声を張り上げる神ちゃんと照史。



太陽が照らし出すグラウンドで走る我が子は
とても楽しそうで
俺たちの声援に応えるように、機敏にカッコよく駆け回り、ボールを繋ぐ。




ああ、さすが、望はかっこええ。









･









「しんどー！！楽しかったー！！」


暑い中行われた試合は、望のいるクラブチームの勝利に終わり
汗だくの望と合流した。



「めちゃめちゃ動いてたな、凄かった！」


「のんちゃん、かっこよかったわあ！」


「相変わらず、サッカーが似合うなぁ」



照史と神ちゃん、さらに藤井くんに褒められて、満足そう笑




望の成長記録がまた増えた。






「じゃあ、頑張ったご褒美にどこかご飯食べいこか？」


「やったー！」


「藤井くんも、おいでや」


「御一緒してええんですか…｣


「流星も一緒！どこ連れてってくれるん！」



疲れとお腹すいたからなのか、そわそわしている望
藤井くんと、俺と照史、もちろん神ちゃんを連れて、近くの焼肉屋へ。





お昼を過ぎた時間だったからか、休日だけれどすんなりと入れて



「藤井くんも遠慮せず食べ？」


「え！淳太が奢り？」


藤井くんに掛けたはずの言葉を拾ったのは、何故だか神ちゃんで
喜んで両手上げてる。




「喜んでる所すまんけど、食べ放題よ」


「えーじゃあ1番ええコース頼もうや」




子供の様に駄々こねてる声を出す神ちゃんに、思わず笑ってしまった


その横で藤井くんは、目をまん丸くしている。





「藤井くん？｣


「あ、いや、神山さんって普段こんな感じなんですね」


「あー」



そうか、普段会う時この2人は美容師とお客さんでこうやってプライベートを覗くことはないのか…



「藤井くんって、何歳なん？」


「あ、えっと確か神山さんと同い年…」


「えー！じゃあそんな堅苦しい呼び方せんで楽に呼んどったらええのに」


「でも、お客さんなので…」



照史の一言で藤井くんは戸惑っていたが、神ちゃんの方が目をキラキラさせて


「そうやん！同い年なら、気軽に呼んでや！」


と言ったことで藤井くんは折れ



「え、えと、」


「神ちゃんでええで！」


「か、神ちゃん」


「おん！じゃあ、俺は流星って呼ぶな！」




顔が真っ赤になっていた。

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