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嶋田誠 ページ5

「いらっしゃーい。」

「こんばんは。」

「あれ?Aちゃんこんな時間に1人で来たの?」

「うん。」

絶賛餅つき大会開催中にも関わらず
ナプキン、タンポン共に切らしました。
こんな田舎の夜に遠出も出来ないため近所のマートに来たんですが…

「棚に無いってことは品切れってことですかね…」


見た所店員さんは嶋田さんのみである。
会計だけなら渡すだけでそれについての会話はしないので問題ない。
しかし、生理用品について話をしなければならないとなると話は別である。
まだ知り合いなだけの男性であるため
聞きにくいことこの上ない。
しかし腹痛が酷いので早めに帰りたい。

オムツ等も陳列されている棚の前で悶々と考え続けていると、

「いたたた…」

周期的にやってくる強い痛み。
立つこともままならず、座り込む。

「ちょ?!Aちゃん、大丈夫?!」

レジから見えていたのか、嶋田さんが来てくれた。
ありがたいが気まずいことこの上ない。

背中でも下の方を擦ってくれている辺り
生理ということには気づいているのだろう。

「っふー…」

大きく息を吐いて何とか痛みをやり過ごした。

「ごめんね、ちょっと待っててくれる?」

「え?はい。」

奥に入って行った嶋田さんを見送って気づいた。
さっきは痛みで何とも思わなかったが、生理だと気づかれてしまった。

顔から血の気が失せていく。
呼吸が荒くなって息苦しい。
恥ずかしい。
お腹がまた痛くなってきた。

「ぁ、はぁ…やっ…っは…」

涙が溢れてきた。



「Aちゃん。大丈夫、大丈夫だよ。
びっくりしちゃったね、怖くなっちゃったかな?
ゆっくり息しようか、吸って…吐いて…」

気がつくと嶋田さんが戻ってきていて
声をかけてくれていた。
その声と擦ってくれる手に
不思議と安心している自分がいた。

「し、まださ…」

「ん?どうした?」

「ごめんなさい…」

「大丈夫、Aちゃんは何も悪くないよ。」

ああ、もう…
その優しさが好き、
安心させてくれる声が好き、
大きくて温かい手が好き、
笑いかけてくれる笑顔が好き…
他にもまだまだある。

たった今の数分だけで好きがこんなに増えちゃうんだもん。

『好き』

言えたらいいのにな…

「Aちゃん、今の本当?」

顔を上げると真剣な表情で真っ赤な顔の嶋田さんがいた。









【え?!声に出てましたか?!】
【た、多分…】
【あああ…】
【俺、期待してもいいの…?】

木兎光太郎→←松川一静



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イナゴの佃煮(プロフ) - 瑠璃葉さん» 瑠璃葉さんお久しぶりです!しんどくなったときの妄想をそのまま書き綴っていますのでそう言っていただけると嬉しいです!お互い辛い時は妄想で乗り切りましょ!! (2019年4月25日 17時) (レス) id: 0b6026706d (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃葉(プロフ) - この作品、すごく素敵だと思いました。なってるときに見ると余計にそう思います。素敵な作品をありがとうございます! (2019年4月5日 22時) (レス) id: 341178e5e0 (このIDを非表示/違反報告)
イナゴの佃煮(プロフ) - 里紗さん» すみません!!ご指摘ありがとうございます!!すぐに直します! (2018年6月10日 18時) (レス) id: 0b6026706d (このIDを非表示/違反報告)
里紗 - 夜久さんの名前は衛輔だとおもいます (2018年6月10日 12時) (レス) id: 3698aeb15e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イナゴの佃煮 | 作成日時:2017年11月15日 20時

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