客A ページ4
「やだぁ!土方さんったら〜!」
甘ったるい声に甘ったるい匂い。
振り払いたくなるようなそれに俺は辟易していた。
ーーーだから来たくなかったんだよ、こんなとこ。
「お妙さぁぁぁぁぁん!!」
「失せろゴリラァァ!!」
いつもの茶番をやってるのを見てため息が出る。
「・・・めんどくせェ。」
早く帰りてェんだがな。
そんな意味も含めて呟いた。
「大変ですね。お役人さんも。」
「あ?」
声がしたほうを振り向くと、いつの間にか知らないキャバ嬢が座っていた。
「来たくないところにまで来て上司のお守ですか?」
「・・・は?」
ーーなめてんのか、テメェ。
そう言おうと思ったのが、言えなかった。
馬鹿にしてる風でもなく、心底そう思っているという声色だった。
「ーーあ、ごめんなさい。」
何の脈絡もなしに謝る女。
「嫌味に聞こえちゃいましたかね?」
「・・・別に。」
何が面白いのか、クスクス笑い出す。
俺はある疑問をぶつけてみた。
ーーお前は何で媚びを売らねェんだ?
「あー・・・媚び売ってほしいですか?」
「や、別にそういうわけじゃ…」
「私・・・ずっと表舞台に立たなくてもいいかなーって思ってたんですけど…」
急に語りだしたそいつに俺はどうしていいか分からなくなった。
「最近そんなのも飽きてしまって、面白いことしたいなって思うようになったんですよ。
今までこうして一般人やってきたんですけど…」
もうやめます。
そう言った。
・・・何なんだ?一体。
「私、表舞台に立つことにします。」
女はそう言ってゆるりと口角を上げた。
確か、こいつの名前――――
「平A・・・?」
だったけか?
俺がそう呟いた瞬間、平Aは嬉しそうに笑い言った。
「これでもう、モブ、やめられます。」
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夏終朝凪(プロフ) - とっても面白いです!続きがよみたいっ!更新再開楽しみにしてます!作者さんのペースで更新してくれると嬉しいです(о´∀`о)どうかお体に気を付けて下さい!応援してますm(_ _)m (2021年1月2日 23時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
亜葉癒 - とても面白いです!これから夢主ちゃんがどんな感じで下克上していくのか楽しみです! (2017年3月6日 0時) (レス) id: 073ff62f9e (このIDを非表示/違反報告)
朋花 - あもさんの作品は全部とっても面白くて大好きです!私もあもさんのような物語を作ってみたいです (2017年1月11日 19時) (レス) id: c18f154cf4 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 麒麟さん» 神ではないです・・・。でも、ありがとうございます! (2016年12月28日 10時) (レス) id: 61c2d23a0c (このIDを非表示/違反報告)
麒麟(プロフ) - なんだ、ただの神か(汗) (2016年12月27日 17時) (レス) id: b0311b2dea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あも | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huzisaki6/
作成日時:2016年12月25日 23時