名探偵夫人【文スト】

五 ページ5

「あの、乱歩様？」

「ん？何？」

「此処は？」

「今、僕が働いてるところ。探偵社なんだ！」

「たんてい・・・」

探偵社・・・何だか小説みたいです。
けれど、乱歩様は昔からとても賢い方でしたから、成る程、ぴったりなのかもしれません。

「社長、居る？」

社長・・・といえばかつての旦那様を思い出します。

「帰ったのか。乱歩。」

「あ、居たんだ！」

社長・・・・・・

何だか想像していたのと違います。
お腹は出てないし、髪もふさふさです。目付きは少々悪いです。厳格そうな方ですが、優しさも感じられます。

何だかとても・・・・

「父上様に似てます・・・！」

「あぁ！確かに！」

「・・・その娘は？」

「僕の奥さん(になる予定)の村山Aさんだよ！」

「初めまして。」

「・・・・・・・」


とても困惑しておられます。けれど、凄い。
私は幼い頃から人の細やかな表情の変化を読み取ることができるのですが、この方は余程よく見ないと判りません。

「どういうことか＿＿＿説明してくれないか。」




「＿＿＿経緯は判った。」

「ね、結婚しても良いよね？」

福沢様は暫く黙考してから、

「反対する理由もない。それに二人とも成人だ。乱歩がきちんと責任をもって＿＿＿」

「判ってる。Aのことは僕がちゃんと責任もって護るから。」




こうして、私は、私達は夫婦になりました。

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