【妖恋物語:鬼編】人じゃない君に恋をした。【狩屋マサキ】 (ページ47)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:9,120 hit

第肆拾肆話ページ47

サッカー棟の中にはたくさんの人間がいた。

「遅いよ葵！」

「天馬達が早いだけ」

天馬達は先に来ていたらしく、制服ではなく黄色と青の服を着ている。

皆お揃いだ。

「あ、夜美！来てくれたんだ！」

天馬が私に気づいて手をブンブン振る。

私も小さく手を振り返した。

「入部希望者か？」

くせっけの強い灰茶色の髪を肩のあたりでバッサリと切ったような髪型の少年が話しかけてきた。

「今日は見学です。ね？」

葵が振り向いこちらを見る。私は小さく頷いた。

「神無月夜美です。よろしくお願いします」

とりあえず、お辞儀をする。

「２年でキャプテンの神童拓人だ。好きなだけ見ていくといいよ」

神童さんは少し笑って一番奥にある扉の向こうに消えていった。

それに続いて他の人間が扉の向こうへ。

「私達も行こう」

葵が私の手を引く。

「ああ」

――この部屋の奥にはなにがあるのだろう？

そういえば、さっかーとは何かまだ聞いていないな。

「葵」

「何？」

「さっかーってなんだ？」

「んー、見ればわかるよ！！」

少し歩くのが速くなった。

――扉の向こうには芝生があった。

芝生と、白い網が２つ、白い線が数本。

芝生は長方形で部屋の真ん中にある。

部屋はさっきの場所の２倍くらいの大きさだ。

端には白と黒の玉がある。

その芝生の上で皆各々に柔軟体操をしていた。

「夜美ちゃんはあっちね」

扉から出てすぐ右に引っ張られる。

そこには長椅子があった。

「ここで私達と一緒に見学」

隣には葵の他に二人の女の子が立っていた。

「よろしくね」

一人はみつあみのかわいらしい女の子、もう一人は長い髪をおろした気の強そうな女の子だ。

「よろしく」

自己紹介をしてるうちに、柔軟体操が終わったらしい。

――今からがさっかーか。

楽しみだ。

私は長椅子に座った。