【妖恋物語:鬼編】人じゃない君に恋をした。【狩屋マサキ】 (ページ31)

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第弐拾玖話ページ31

次の日。

マサキは昨日と同じ時間に私のもとへとやって来た。

下校にしては随分と早い時間だけれど、マサキには友人がいないのか？

――それはないか。私じゃあるまいし。

声を殺して笑った。

マサキにはバレてないことを願おう。

「……で、どうなんだよ」

「どうなんだよ。とは？」

「お日様園のこと」

「ああ、それのこと」

我ながらわざとらしいと思う。

しかし昨日はいつでも良いって言ったくせに、聞いてしまうんだな。

まったく、マサキはかわいいな。

これではどちらが女子かわからなくなるぞ。

そう言いそうになる自分を押さえつつ。

「決まったよ」

「本当？」

「マサキに嘘ついて私に得することは何もない」

そこは警戒するところなのか？

信用してほしいものだ。

「うっ……それもそうか。それで？」

納得してもらったところで、まあ回答、

「ああ、私はお日様園に行きたい」

「え、本当!?」

「だから、マサキに嘘ついてどうする？」

「ああ……まあ、そっか」

「しっかりしてくれ。……これからお世話になる」

ぺこり。と頭を下げた。

――結局、行くことにした。

やはり自分の気持ちには逆らえなかった。

私はマサキと一緒に居たい。

"此所のこと"もあるけれど――守れないなら、守らなければいい。

向こうから来る前に、私がマサキ逹を守る状態になる前に、

私が"彼奴等"を狩ればいい。だから……

「よろしく頼むぞ、マサキ」

これぐらいの我儘は、許してください。

今だけは、夢を見させて。

――この後、私は一つ後悔をすることになる。

かつて、自分にとって、一番つらい答えが一番正しいのだと人は言った。

このときの私も、自分にとってつらい答えを選んでいれば＿＿。