【妖恋物語:鬼編】人じゃない君に恋をした。【狩屋マサキ】 (ページ23)

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第弐拾壱話ページ23

「ところでマサキ、今日はどんな用件があって来たんだ？」

また来てほしいと約束はしたが、少し早すぎはしないだろうか。

何かあったんだろう。そう考えるのが妥当だな。

「え、特に何もないけど？来てほしいって言われたから忘れないうちに来ただけ。それとも、約束したことすら忘れたぐらいに来た方がよかった？」

人懐っこい笑顔を見せる。

昨日の腹黒そうな顔とは別人のようだ。

言っていることは、腹立たしいかぎりだが。

だからこそ腹黒いのだろうか。

「……来てほしくないなんて言ってないぞ。すぐに来いとも言ってはいないが」

「素直じゃないな～」

――なんかうざい。

どこがどううざいと問われれば、別にわからないのだけれども。

こいつ、こういうキャラだったか？

もっとツッコミに特化した可愛いげのあるキャラクターだと思ったんだが……。

「じゃあ、これからどうするかは決まっていないんだな？」

「そこはAが決めるとこなんじゃない？」

――質問を質問で返しただと!?

もうマサキにはさっきの人懐っこい笑顔はない。

あるのは昨日と同じ腹黒そうな顔。

これが最近人間によくある『猫かぶり』というやつなのか？

確かにマサキは猫っぽいが。目とか特に。

「だが、こんなところにはなんにもないぞ。することなんて寝るくらいだ」

実際マサキが来るまですることがないので寝ていたところだった。

「じゃあなんか話してよ」

「話？」

そんなことでいいのか？

「そ、昨日してくれたみたいな俺の知らない話。Aはいっぱい知ってるだろ？」

確かに知らないことはない。

これだけの年数を生きれば、まだ２０年も生きていない若いのに比べればの話だが。

「私は何でも知っているわけではない。間違っていたり矛盾していることもあるだろう。それでも聞きたいのか？」

「うん」

笑う。意図はわからないけれど、

――私は、こいつが嫌いじゃない。

「そうか。ならさて、何について語ろうか……」