2.A sweet rainy day ページ6
「A、羽宮と付き合い始めたらしいね」
お昼どき、油断していた頃合いに、突然そんな爆弾を撃ち込まれて、お茶を飲んでいた私は見事にむせた。
「ごほ、ゲホッ、っぐ……」
「おうおう、だいじょーぶ？」
「大丈夫なわけ、あるかぁ！！」
危うくお茶が気管に入りかけたじゃないか！！
すーはー、と深呼吸して落ち着いた頃を見計らって、ユカは、にやぁっと意味深な笑みを口元に浮かべた。
「見ちゃったんだよね〜。Aと羽宮が手ぇ繋いでるの！」
「う、うそ、いつ！？どこで！？」
「んー、先週か先々週の日曜だったかな。イチョウ通りにいたでしょ？」
な、なんてこった、ほんとに見られてた。
(しかも、最近のことじゃんか！！)
「耳に触れたり、顔近づけたり……まー公共の場でイチャコラしてたよねぇ。あんたらほんとに」
「ひぃっ！そんな目立ってた！？」
「まぁまぁ？私がガンロックしてたのもあるけど、カップルいんなぁ、程度には見えてたわよ」
この幸せ者めぇ！と肘で突かれて、お弁当に軽く顔を埋めた。たぶん、ゆでダコみたいなことになってるのだろう。
唯一の救いは、リコとか、他のみんながいない分、茶化しの度合いがいつもよりマイルドなことだ。
「いつから付き合い始めたの？」
「えぇと……文化祭のときから」
「ほーっ！スッゴイ最近じゃん！？もしかしてシフト交換してあげたとき、会ってたのって羽宮？」
「うん」
「人が仕事してる時に青春しやがって〜！！唐揚げ取ってやるっ」
「あっちょっと！」
ひゅんっ、と伸びてきた箸先に小さめの唐揚げがひとつ奪われた。急いで取り返そうとしたがユカのほうが早くて、あっという間に頬張られてしまった。
「あぁ〜！！わたしの唐揚げがぁ！！」
「うるさいわね、唐揚げの一個や二個ケチケチしないの」
「ユカが勝手に盗ったんでしょ！？も〜っ、そりゃあの時のは助かったけどさぁああ」
食べ物の恨みは……と言いたいところだが、他の子にバラすとか脅されるのも困るので、口を噤んだ。ぐぅう、いつか卵焼き貰ってやる！
「で、羽宮といつしたの？」
「え？」
「だからぁ、いつ
「へっ、あっ、おっ……おとめぇ！？」
「声がでかい」
*
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