wt短編集【ワールドトリガー】 (ページ6)

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『出水今日もかっこいいね』

『1発付き合わない?』
まじで今日もかっこいい出水。
こんなに私がぞっこんする人はこれからも
この先も出水だけだと思う。

｢俺はー?｣
顔がいいだけの米屋。
こいつの女好きは周知の事実。

『うるせーチャラ男』
あははと笑う出水としょんぼりしてる米屋。
右側の出水だけ切り取って永遠に見てたいのに
左側のチャラ男が視界に入って邪魔でしょうがない。

｢俺はAの顔可愛くて好きだけど｣
米がなんか言ってる。
『お前に言われても嬉しくねーんだわ』

｢米屋ほどほどになー｣
微笑みながら言う出水が可愛くて小さく
ガッツポーズをする。
出水は覚えてないかもしれないけど、
入学式で助けて貰ったから私、
こんなに出水のこと好きなんだよ。
言わないけど。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
入学式の時のこと。
時間ギリギリに行ったら私だけ入学式の
胸元に付けてもらう花が無くて。

周りにザワザワされて恥ずかしくて。

そしたら隣の席の出水が花をくれて。
本当に嬉しかったし、こんないい人いるんだって
思った。
なんかその後、出水は花つけてたけど。

なんでだろ。未だにわからない。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あっという間に放課後。
今日は親の命日だ。
大規模進行の時に亡くなってしまった。
今でも会いたいし、たまに泣いちゃうけど。
大丈夫、もう大丈夫。
沢山友達もできたし出水だっている。

本当は駄目だってわかってるんだけど、
この日だけは親の死んだであろう場所に
お参りをして一緒に暮らしている祖母の家に
帰る。勿論、立ち入り禁止区域。

これまでも大丈夫だったし、
今日も大丈夫。

私は大丈夫。

ブーーン
鈍いサイレンが響き渡る。

大丈夫って思ってた私が馬鹿だった。
全然大丈夫なんかじゃない。

米屋、助けて。

(続く)