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その子は泣きそうな顔で俺を見た。
誰かが知らせてくれたのか次止まった駅でその男は駅員に連れていかれて、最寄り駅に着いて降りると、俺と同じ駅で降りたことに気付いたその子が『あの、!ありがとうございました』って話しかけてきた。
いえ、とその場から離れようすると引き止められ
お礼をしたいから連絡先を交換してほしい、と。
この時はまさかこの子と二人で食事に行けるなんて思ってもみなかった。
『お礼します、何でも』
「…いや別にいいです」
『でも何もしないのは私が嫌なので、!』
まあ、この子と進展したと言えど俺の人見知りが無くなることなんてなく、寧ろ好きな子と二人きりで話してる状況に余計緊張してた。
今まで遠目で眺めることしか出来なかった子が、今俺といる。
「あんた大学生?」
『そう!大2』
「…ああ、年上。ですか」
『君は?』
「大1。京城大の」
『え、!私も同じ』
俺は最初から知ってたけど、今初めて知ったAは俺が同じ大学だということにすごく嬉しそうにしていて、驚いた。
なんでこんな嬉しそうなの。
ふと目が合って、咄嗟に逸らした。
あー別にこの子とうまくいかなくてもこうやって今日話せただけで幸せだなって思ってたら
その子は顔を覗き込んできて
『…綺麗な瞳』
薄く茶色がかった潤しい目に
心臓がいやに煩くなる。
やっぱり、今日だけじゃいやだ。
最初は付き合いたいなんて烏滸がましくてその子のそばにいられるならどんな関係でもいいと思ってた。
友達がいない俺にとって、Aの存在が俺の中で大きくなる事は確かだった。
沢山いるであろうAの友達のうちの一人になるのはあまりにちっぽけな気がして。
物語でいうヒロインを不幸にさせる悪役でもいいから、とくべつで居たかった。
「本当に何でも?」
『え、?あ、うん。』
「うーん。じゃあ」
「好きな人の代わりになって」
関係に名前なんていらない。
もし最初に名前がつくのなら
もっとこう、綺麗なものがいい。
「うん。まあ、いつか名前がついたらいいね」
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chi134340(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。終わってしまって寂しい気持ちもあって複雑…。またてこさんのお話を楽しみにしています。 (2021年9月11日 12時) (レス) id: fae26ba036 (このIDを非表示/違反報告)
JK1223(プロフ) - このお話大好きです…!更新されているとめちゃくちゃテンションが上がります!!下の方のようにテヒョンとうまくいって欲しいと思う反面…グクとグズグズになれーー!とも思ったり…( ; ; )これからも応援してます(*^_^*)頑張ってください!!! (2021年8月31日 22時) (レス) id: f8bf9f9746 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - どうかテヒョンを好きになってそのままでいてください! (2021年8月23日 3時) (レス) id: a67dcb29eb (このIDを非表示/違反報告)
えま - もはや切ない。。とっても面白くてハマっています!これからも更新頑張ってください! (2021年8月18日 10時) (レス) id: d6d16a0d4e (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - すごくハマってしまい、Twitterで写真付きでみて、占つくで読み返して噛み締めるという事をしてます笑笑更新楽しみにしてます! (2021年8月17日 15時) (レス) id: 8165b878e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huumi0000/
作成日時:2021年8月10日 22時