かまってちゃん* 46 ページ47
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荷造りを終えて、いつの間にか外には朝日が昇っていた。
準備は、できた。
荷物の準備も、心の準備も。
屯所にある私物は…まあ、置いておくとして。
必要な物はこれからまた一から集めればいいし。
A「よし。」
一枚の置き手紙をベッドに残して、お世話になった病室を去った。
これで、いい。
これで、いいんだ。
だって、このまま真選組に戻っても私は…
きっとみんなの足を引っ張る存在になってしまう。
私の右腕はもう元には戻らない。
だから、真選組にいても邪魔なだけ…
A「っ、……」
みんな、ごめんなさい。
最後まで勝手でわがままな私で、ごめんなさい。
でも、最後に一度だけでいいから、
とーしろうの顔が見たかった…
なんて、そんな事叶うはずも無くて。
A「ばいばい、とーしろう…」
久々の外の空気。
暖かい朝日。
色んなお店が開き始める朝の街。
そして、大好きなあの人の姿 ______
A「えっ…と、しろ……?」
土方「勝手に居なくなろうしてんじゃねェよ馬鹿野郎」
A「なんでっ、…?」
久々に見た本物のとーしろうの姿に、気づけば涙が溢れて止まらなかった。
夢の中でしか会えなかった、あのとーしろーが、
今私の目の前にいる。
もしかして、これも夢…?
A「いひゃい…」
土方「お前の事だろうから、こうなるだろうとは思ってたが…まさか本当に出て行くとはな」
私の右頬を、相変わらずの力加減でつねってくるとーしろう。
そのおかげで、夢じゃ無く現実だという事を確信した。
でも、頬から伝わるとーしろうの手の温もりが暖かくて、嬉しくて、どうしようもなくて。
土方「お前の事は全部お見通しなんだよ」
A「そんなのッ………」
私の事なら何でも知ってるみたいな、そんな言い方、ズルイよ…
土方「だから…もう勝手に消えないでくれ」
ふわりと、大好きなとーしろうの香りに包まれて。
やっぱり、とーしろうはズルイよ。
A「でも、あたしっ、何もできなっ……」
土方「あ?なら、俺の隣に居るだけでいい」
それは、私が副長補佐官だから?
それとも……
A「らしくない、ね……?」
土方「う、うっせェよ馬鹿!」
耳まで真っ赤なとーしろーの大きな背中に腕を回した。
やっぱり私は、不器用で、よく怒るけど
でも優しくてかっこいい、そんなとーしろうが
好き __________
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サングラス - 更新待ってまーす!!頑張ってください! (2016年9月30日 16時) (レス) id: d1c26ece08 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 更新ありがとうございます!楽しみに待っています! (2016年9月25日 15時) (レス) id: 724671e904 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 更新楽しみにしています\(^o^)/ (2016年9月20日 23時) (レス) id: 724671e904 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 続きが気になります!楽しみにしてます! (2016年8月4日 23時) (レス) id: 724671e904 (このIDを非表示/違反報告)
カノン - めっちゃ面白い!更新頑張ってください! (2016年6月5日 23時) (レス) id: 6bbd9f1b73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:欅 たら子。 | 作成日時:2016年3月25日 1時