■いち。 ページ3
「あぁぁアァッ！！こぼしたァ！」
四月。
今から一週間もしないうちに、学生は進級という大事な時期が始まる。
それにも関わらず、桜はもう散りかけていた。
今年は三月下旬から暖かくなりはじめ、蕾から花開くまでがとても早かったのだ。
そして、新社会人となる彼女は、面白い番組は無いのかとリモコン片手にテレビのチャンネルを忙しなく変えている。
ちなみに冒頭のセリフは、彼女の肘がコップにぶつかり、中の炭酸飲料が零れた時の。
「…朝からなによ？」
「いや、だから零した！！」
彼女の声で起きた彼は、まだ眠たそうだ。
頭をかき、欠伸をして独特の訛りで部屋に入ってくる。
しかし、状況を把握した途端、目を見開いた。
「シミになるだろ！早く雑巾！」
「へーい」
「…ったく…」
怠そうに雑巾を取りに行く彼女を横目に、彼はティッシュでカーペットを拭いて行く。
彼にとっては、そんなに嫌いではないのだ。
彼女が素直に雑巾を取りに行ったということは、自分に任せてくれているということなのだから。
彼は、彼女に頼られるのが嬉しいのである。
彼女は頭に新の雑巾を一枚かぶり、部屋に戻ってきた。
ごめんねと頭を下げると同時に、彼の手に雑巾が落とされる。
「…先生ズボン濡れた」
「…洗濯機回すから着替えて来い」
「ウィッス」
ため息をつく気にもなれない。
彼はせっせと手を動かした。
ある程度拭き終わり、シミ取り洗剤をつけて改めて拭いて行く。
「これでいいか」
「もうあったかいしカーペットじゃなくてよくない？」
「…クリーニングに出すか。よし、今日はお出かけだな」
「いえーい！私、欲しい本あったんだよね！！」
久しぶりの外出。
仕事の内定が決まってから、彼はともかく、彼女は家に篭りっきりだったのだ。
社会に関して幾分か先輩の彼は、とりあえず出勤までは家に居ろと、言っていた。
おかげで毎日ゲーム三昧だったわけだが、それもあと少しで終わり。
本ぐらいネットショッピングで買えばいいと思いつつ、彼女の笑顔には勝てなかった。
彼も今日は仕事が休みのため、時間を気にする心配もない。
カーペットをたたみ、大きな袋にしまう。
「洗濯機回して着替えてくるわ、先に朝飯食べてて」
「はあい」
(ああ、彼女が愛おしい)
(なんて言えないからいつもの毒舌で許して)
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ユリーカ(プロフ) - わあああい更新だぁぁ！！！いやー夢主ちゃん可愛いですねぇ。あろま先生が惚れるのも分かりますわー。 (2015年8月9日 12時) (
レス) id: 26e80094cf (このIDを非表示/違反報告)
えと - ツンデレあろまさん可愛いむしゃむしゃほんわか夢主もかわいいむしゃむしゃごちそうさまです (2015年7月2日 18時) (レス) id: 0b70f68b6b (このIDを非表示/違反報告)
汐菜 - 面白泣きしました。「こんないい作品作れるなんてみんな神だー」って泣きました。私も駄作を作っているので是非みてください(殴 (2015年5月19日 23時) (レス) id: 89d6c39680 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ(プロフ) - うわぁぁぁ俺得です！eoheohの方も凄く面白かったです！どっちも好きなので頭の中でこーふんしてました！((母親に冷たい目で見られました← (2015年5月2日 21時) (レス) id: dfccf1ba78 (このIDを非表示/違反報告)
神莉 - …人参美味しいだろうがああああっ！！←あ、どもども。元チェリーです。人参大好き人間なんでこうなりました←こんなコメ気にしなくても良いですよー←更新頑張ってくださーい (2015年4月28日 4時) (レス) id: 0fea421f8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡桃沢 | 作成日時：2015年4月2日 11時
