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ｶﾞｺﾝ
落ちてきたお茶の取り出して、自販機コーナーにいくつか設置されていた椅子へ座る。
「うーん……」
ﾋﾟｯ
ｶﾞｺﾝ
一緒について来てくれた翔くんも何か買ったようで、取り出すそれを見ると俺とは違って普通のミネラルウォーターだった。
「同じやつにしようかと迷ったんだけどね、なんとなく」
隣に座った翔くんは、特に理由はないように言って笑う。そっか、彼がそう言うんならそうなんだろう。何か制限があるのか気になってしまったが、その引っ掛かりで今この場の雰囲気を壊したくない。そんな自分のエゴイズムで引っ掛かりは奥に押し込めた。
パキッと軽く気持ちいい音を立ててキャップを開け、ペットボトルを呷る。渇いた喉に染みていく冷たいお茶が心地良く感じて、ごくごくと飲み込んでいくその動作が止まらない。
『ぷはー』
「めっちゃ飲んだね」
『あはは、めっちゃ喉渇いてたからね』
残ったお茶がどのくらいかと掲げてみれば、ペットボトルの半分ほどが減っている。確かに一気に飲むにはめちゃくちゃ飲んだと言う範囲。渇ききっている時のお茶はめちゃくちゃ美味しかった。
パキッ
翔くんのペットボトルも気持ちいい音を立ててキャップが開く。翔くんは軽く呷るくらいでそんなに量は減らない。
流れるようなその動きを見て、やっぱり翔くんは綺麗だなとそんな風に思う。
「でさ、さっきの続きなんだけど、智くんは洋画は字幕と吹き替えどっちがいい？」
あー、ここに来るまでに話していた映画の話か。本はあまり読まないという話から映画の話になって海外の映画を見る時の話になったんだったか。
『いやー、俺は字追うのがめんどくさいから吹き替え派かなぁ』
「そっか……字幕だと俳優さんの演技がそのまま感じられておすすめなんだけどなぁ」
声はがっかりしたように聞こえるが、隣の翔くんを見るとなんだか楽しそうだ。他愛もない話をして過ごす時間。穏やかで、優しくて、ゆったりした好きな時間。
んふふ、俺も楽しいなぁ。
「え？何笑ってるの？」
『ん？んふふ、いやあなんでもないよ〜』
「何それ、ふふ意味わかんないよ」
君と過ごす時間がたまらなく好きなだけだよ。
《the arrival of love》
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作者名：フレンチ糖スト | 作成日時：2022年2月6日 21時
