アトリエに残された桜 (ページ14)

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昨日同様、2人で相葉くんの店へ向かう。昨日と違うことと言えば、今日は翔くんの後をついていく俺ではなく翔くんの隣を歩く俺、というところだ。

なんて、言ってみたはいいものの、なんか気持ち悪いな。

さっきのはなかったことにしてあっという間に相葉くんの店に着くと意外とアトリエから近い距離のところにあったんだなと改めて感じる。

昨日は開店前の早い時間に入ってしまったので客はゼロだったが、昼前に来た今日は思いの外客が入っているお店が見れた。

「あー、結構お客さんいるね。入れるかな」

軽く心配して翔くんが中を覗く。すぐそばにいたお客さんが「えっ、あの人かっこいい」と言ってそうな顔をしていた。かっこいいだろ、俺の翔くん。

「奥の方とか、席空いてそうだよ。入ろう」

『うん』

翔くんに続いて店へ入るとすぐに相葉くんが気付いてくれた。

「あ！2人ともいらっしゃい！今日も来てくれたんだ！！」

厨房の暑さからか、額に汗をかいている相葉くんがキラキラ光っている。まるで太陽だな。

「今日は何食べる？」

「俺は今日はエビチリかな」

翔くんが昨日とは違うメニューを注文した。

『俺は…あ、昨日翔くんが食べてたやつってできる？』

「ああ！いいよ、もちろん！」

翔くんの為だけの専用、に感じていたので快く引き受けてくれて安心した。昨日のそのメニューの異様さというか異質さ？が蘇る。

「じゃあ、しょうしょうおまちください！」

全部平仮名に聞こえた相葉くんの元気な台詞に明るく頷いて2人で待った。

『そういえばあの料理って誰が思いついたの？相葉くん？』

「あー、そうだよ笑あの人よく料理とか変なアレンジ加えて新メニューにしようとするんだ。そん時に味見を任せられるんだけどあの料理は美味しかったからよく頼むんだ。メニューにはならなかったけど」

『え、なんでならなかったの？』

「この店にはストッパーがいるからね」

『ストッパー？』

「今日もいるんじゃない？」

翔くんが厨房の方を覗くのを見て、俺も覗く。体を大きく動かして厨房を覗いている翔くんをちらりと見てなんか可愛いと思った。

「ああ、いたいた。あの人あの人」

『ん？』

と、翔くんが指差した先をなんとか見つけるとそこにはまた、翔くんとも相葉くんともタイプの違ったイケメンが大きな中華鍋を振るっていた。