バカ笑いと高笑いと大笑いと空笑い。 ページ32
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治side
｢……あれじゃ、何処がくっ付いとんのか
分からんやんけ｣
目の前の光景を見て、ため息を零す。
嫉妬混じりに下駄箱に靴を突っ込んだ俺は、
すぐに外に出ようとして、躊躇った。
角名と雨宮とハルとツム。
はは。なんや、あれ。
角名とハルが喋っとって、雨宮とツムが
笑いあっとって。
でもツムと雨宮は、空笑いで。
｢……惨めやな｣
呟いた。優越感に浸りたかった。
ツムに先を越され、嫉妬でどうにかなりそう
だったのが、ツムは上手くいっとらんし、
雨宮は雨宮で大変そうで。
ざま見ろとか思ってしまうのは、許して
欲しい。
俺だって、あと少し、早ければ。
なんてどうしようもない後悔で埋め尽くされて
どうにかなりそうで。
｢……治｣
聞き覚えのある優しい声に、そっと振り向く。
｢北さん｣
北さんは俺の目の先をジッと見つめて、
目を見開いて、少し伏せた。
｢角名も策士や。侑は一本取られたな｣
帰ろか、なんて少し上ずった声で言う北さん。
何も変わらん。ように見える北さんの顔は、
少し、動揺しとって。
｢……北さん。俺、ハルが好きです｣
靴を吐き終え、つま先をトントンと床に
叩きつけとった北さんは、俺の言葉を聞いて、
息を呑んだ。
｢それ、俺に言ってどないするん｣
｢誰にも負けられません。ハルが好きだから。
角名にも、ツムにも、銀にも、ほんで、
北さんにも｣
北さんも好きなんでしょ？なんて決め文句を
言えば、北さんは大きな瞳で振り向く。
嗚呼、ほら。火照ったような頬が、震える唇
が、普段の北さんから想像出来ひんような
顔をさせる。
｢なんの宣戦布告や。俺は｣
｢ハルに伝える気が無いと？｣
完全にこちらを振り向いて、眉間のシワを
深めて。
北さんは、口を固く結んだ。
｢なんですか、それ。北さん、ハルのこと、
好きやないんですか｣
｢言うたら、全部が溢れ出す｣
｢はは、なんや。俺が一番好きだからとかって
言うんですか？｣
｢ちゃうで｣
｢なら、なんで！｣
｢気付いたことないやろ！！｣
珍しい。というか、初めて見た。
北さんが、こんな風に取り乱すのは。
大声をあげて、泣きそうな顔をするんは。
｢雨宮、やったっけ？侑と同じクラスの。
前、屋上の扉の近くで泣いとるのを見た。
俺らの恋愛相談乗ってばっかで、全部背負い
込んで、泣いとった｣
泣く？あいつが？あんな強い奴が？
｢誰かを悲しませながらする恋愛は、
なんの結果も生まんやろ｣
泣きそうな面をして。
ならどうして助けてくれなかったんですか。→←好きなものはちゃんと好きって言いなさい。
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夏 - 人間の感情が素晴らしく良く表現されている作品だと感じました。幸せになる人の裏に不幸になる人がいる世界を上手すぎるくらいに表現されていて、読んで感動しました🥹 (10月24日 18時) (
レス) @page50 id: f137f47347 (このIDを非表示/違反報告)
フェアリー(プロフ) - なんというか･･･切ないですね。夢小説なのに夢を感じさせないところが好きです。ハルちゃんが誰かに愛されている裏で、雨宮ちゃんの心が抉られているって考えると居た堪れないっすねなんか (2023年3月23日 17時) (レス) @page50 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
黒弧(プロフ) - バカ笑いと、何とかってやつで言いたいことがある。。北さんイケメン！？で、私はこうゆう女の子の逆ハーが雨宮(？)目線で見てまうからいっつも男主 (2022年9月29日 7時) (レス) @page32 id: 4b13e88e37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらゆな(プロフ) - 今まで愛され夢小説を見てきて私も作者さんと同様友達はどんなふうに思っているのか、不憫だなと現実にいたら私もきついかもです笑笑この小説を読んでいかに愛され小説が自分達だけの世界だったのかと思い知らされます、続きも全部読みました、とても感動しました！ (2022年5月26日 21時) (レス) id: 047d519d35 (このIDを非表示/違反報告)
まくら - なんやろなぁ、小説特有の甘い感じじゃなくてちゃんと現実でのドロドロした、めんどくさい恋愛が書かれててほんまに凄いと思いました。続き、今から読ませていただきます。 (2022年4月27日 23時) (レス) @page50 id: c8a7cb4466 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年1月1日 0時
