獅子の心臓は孤独だった (ページ9)

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君は聞いてきたページ9

遂に休暇が来た。帰ってもどうせベッドの上なんだから休暇までにもう一度脱走出来るのでは、と考えたんだけれど、どの日も体調が悪いから脱走どころではなかった。
コンパートメントも１人貸切状態。急に体調悪くなっても寝転がれる様にって。
だけど、今回は違った。

「やっと見つけました…」

『……レギュラスくん』

「本当に休暇まで医務室だったんですね。相席良いですか？」

『うん、いいよ』

正直なところ、とても嬉しかった。だって、今まで誰も私１人のコンパートメントに入ってきやしなかったから。

「じゃあ聞かせてもらってもいいですか？」

『やっぱそれ聞きにきたんだ』

笑ってみせるとレギュラスくんははい、と答えた。私もちょっと真剣になって目を見つめてみた。

『レギュラスくんが孤独ってのは…比喩で、余計なお世話だったらあれなんだけど…………表面でしか、シリウスの弟としか、ブラックとしか見てくれなかった…一族の仮面を被った、そんな孤独』

最後の方は視線を下にずらしてしまったが、本当に余計なお世話だったら申し訳ない。私だって、最初レギュラスくんが孤独だって思ったのは直感だったんだから。ただ、ちょっと目で追ってる内に色々と情報が流れ込んできてちょっとした確信になっただけ。