1章 1話 茶色の少女 ページ2
無難な茶髪のボブカット。同じ茶色の、普通の瞳。その上から丸い、度は入ってない眼鏡をかけて。
白の丸襟ブラウスと、ダスティピンクのシフォンスカートを身に纏った“私”を、姿見の中に確認する。
｢よし、大丈夫ね｣
ハンガーに掛けていた黒いカーディガンをふわりと羽織って。
乱雑な形で床に置いていた、革製のポシェットの紐を掴む。私は目を閉じて息を吸い、手狭なマンションから1歩、足を踏み出した。
｢ハンター試験参加者の方ですね！ 受験番号は48番になります。こちらを胸元にお付け下さい！｣
48、と書かれた丸いバッジをカーディガンの胸元に付けた私は、この幼い(と言っても15歳前後には見えるレベルではある)見た目からか、それとも、この可愛らしい見た目からか、それとも、女性だからなのか──とにかく、集まる視線を無視して、壁際に向かう。
ポシェットから薄いスカーフを取り出して床に敷き、その上にすとんと腰を下ろした。
｢……はぁ｣
――――暇だ。早く来すぎてしまった。
受験番号はほぼほぼ、会場に来た順に付けられているとみて間違いない。それなのに、何百人という人数が受ける規模の試験で、48番目という比較的早い順番。絶対に間違えた。そもそも私は、待ちたくないし待たせたくないタイプの人間なのだ。
もちろん、ギリギリに着くよりかは早めに着く方が良いからといって、試験会場までどれだけかかるかが日単位で分からなかったのでかなり余裕を持って家を出てしまったのは、私の落ち度なのだが。
｢よっ。嬢ちゃん、ルーキーだろ？｣
“ラッキー、ガキの女がいるぜ”とか“ヒヒッ、ライバルが1人減ったな”とか、そういう声は聞こえていたけど、直接絡みに来る人は居ない。
そんな中、1人、小太りの男が近付いて来てそう言った。私は、すぐに“世間知らずで育ちの良い少女”である“私”になり、にこりと笑う。
｢はい、そうですよ〜｣
｢やっぱりな！ 10歳の頃から35回試験を受けているベテランの俺には、すぐに分かったよ！｣
｢……ふふっ、それは頼もしいです｣
それだけ試験受けてもまだ受からないんですね──。そんな言葉をうっかりこぼすほど落ちぶれて居なかった私は、笑顔で適当に返事をする。
そんな私の可愛らしい笑顔を見て、男は偉そうに胸を張った。
｢おう！ 試験の事は何でも俺に聞いてくれ！！｣
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わっし - イルミとの絡みも過去編?も凄い好きです…！武器を自由に操れる…武器の威力も操れる…ってコト？！ (1月3日 0時) (
レス) @page43 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - Asaちゃんさん» コメントありがとうございます。イルミとの関係性は自分でも気に入っている部分なので、そこを肯定して頂けて、すごく嬉しく思います……！！ この気持ちでこれから先、更新頑張ります！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
Asaちゃん(プロフ) - やばい、イルミとの絡み方がすごく好き！更新楽しみにしています^ - ^ (2021年5月28日 7時) (レス) id: 245967808e (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - ダチュラさん» そう言って頂けてとても嬉しいです……！！調子に乗って、連日更新してしまいました笑。閲覧、暖かいコメント、ありがとうございます！ (2021年5月28日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です!！続き気になる……！！更新待っています！！ (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あめ。 | 作成日時：2021年5月22日 0時
