マーダーライセンス 〔 Ｈ×Ｈ 〕

幻影旅団遂に始動 ページ21

その時が来た――――



そう告げる風は廃墟の隙間を縫ってクロロの灯した蝋燭の炎を消した。

クロロが立ち上がり団員全員の顔を見渡す姿は、絶対的強者の存在感。

背後は大きな窓があり、月光が妖しくクロロを照らす。



「明日から始まるオークションでの俺達の狙う獲物は…全部(・・)だ」



冷たい瞳、薄っすら上がった口角。

まるで呪いの言葉でも吐く様に…。



「アンダーグラウンドオークションのお宝…丸ごとかっさらう」


「本気かよ団長」



いかにも強化系という体つき、血と戦いに飢えているウボォーが聞き返す。



「地下競売は世界中のヤクザが協定を組んで仕切ってる。

手ェ出したら…その筋モン…全部敵に回す事になんだぜ？」



ウボォーの武者震いが止まらない。



「怖いのか？」


「嬉しいんだよ…!! 命じてくれ団長…!!! 今すぐッ!!!!」





「俺が許す……殺せ」





それだけ言うとクロロは団員が集まった広間から出ていく。

明日の２１時から行われる地下競売が勝負の時――――…。


Aは来ているのだろうか？

そういえば…Aを見ても接するなと言い忘れていた。



「団長、今いい？」


「シャルか…何だ」



こっち、と案内された廃墟の部屋。

どこから電気を引いてきたのかパソコンが起動してる。



「Aちゃんの言ってた組織が判明したんだ。

販売リストはもう配られていてオークションに出す前に買いたがる短気な客が多くってね。

連絡が集中する所をずっとハッキングしてたら…主犯はこいつだよ、セルシオ＝ストラウス」



クロロにレポートを渡す。



「表向きは私立学園の創設者。

中堅層と富豪層の学園を幾つも運営していてる。
大体はその子供か親や親戚が例の(・・)被害者」



無言でレポートに目を通すクロロ。



「金を積ませて装置の停止か解除をする…

手持ちや担保になる物がなきゃ戦地送りだよ。

停止も解除法も全部把握したから大丈夫」


「流石だ、全て回収して解除した後は破壊しておけ」


「一つだけ取っとく？ Aちゃんが離れてても元気か判るよ？」



イタズラ好きな子供の様にクロロの顔をワザとらしく覗き込むシャルナーク。

クロロはレポートをシャルナークに返し、力なく首を振るだけ。



「全て破壊だ。製造工場も忘れるな」


「工場はここにないけど…データも一つ残らず破壊、だね」


「従業員もだ。 五日以内にこの件に関わった者は確実に…全員消せ」


「分かった」

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地下闇競売は明日→←貴方が彼だったら

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