呪いの恋歌 〔 Ｈ×Ｈ 〕

ボクダケガ イル ページ6

ボディーガードというものは信頼関係が大事。

それゆえ雇い主の家もしくは敷地内宿舎に泊まり込み働く。


雇い主を失ったAに戻る部屋がなくなるのは当然の事。

ヒソカはそれもいつもの事(・・・・・)、予定通り。

街を一望出来るホテルを数日前から確保しこの時を待っていた。



「ボクは今ここに泊まってる、来るだろう？」


『…ホントに…ヒソカさんっていつも何でこういうタイミングで近くに居るの…』


「まだボクが犯人だって疑ってるのかい？」


『…血の匂いがない…それにヒソカさんが居た場所は温もりがあった…あそこにいた証拠…』


「おやおや、そんな事いつ覚えたのカナ？」


『…先輩が……』



長い事同じ場所に居られないAには友達も居ない。

技や敵を見抜く事を教えてくれた先輩もたったひとときの「過去の人」。



「泣き虫になったねぇ」


『……』


「ほら、あそこ見てごらん。 一番右７Ｆの窓が開いてるのがボクの部屋」


『…入ってもいいの？』


「当たり前じゃないか、そんな血のついた服で街をウロつく気じゃないだろうねぇ？」



こくんと頷き、涙を乱暴に拭くA。



『…ありがとう、ヒソカさん』



そう言うとググッと猫の様に身を縮めヒソカ指定の窓枠にひらりと着地。

それを見てヒソカは満足そうにロビーからホテルの中へ入っていく。





ヒソカは一流とはいかなくとも中々良いホテルを拠点にする。

それはアリバイ作りに便利だし、立地が良い事が一番の理由。


ホテルの従業員にチップをはずめば何かしら全て用意してくれる。

Aの身長と似た体格の従業員を指さす。



「あの子のサイズで適当に可愛い服と靴…あとレディーに必要な物を適当に買って来といて」



頭をペコペコ下げる従業員は明日の昼迄には必ず、と言ってヒソカが見えなくなるまで見送る。

長居する気はないがAは当分無職、住まいも着替えもないのだから無用な物ではない。


何より…Aを闇の道に誘ったのはヒソカ。

純粋過ぎたAはヒソカの紹介してくれる職に感謝し、知らず知らず戻れぬ道を歩いてきた。





強化系のAを見て

ヒソカはこの時に何となく

「念の統計別性格診断」

なるものを思い付いた。





ああ、A――――

今回は何日君と一緒に居られるだろうか





ヒソカは弧を描く口から

チロリと舌を出し唇を舐める。



君にはボクしか居ない、そうだろう？

味方はいつもボクだけ、そうだろう？



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