ヒソカ ホウモン ページ29
「全くどうすりゃいいんだよ…！」
ミルキはどうやって兄イルミを起こすか頭を巡らせていた。
寝顔らしきものは見た事はあるがここまで接近し熟睡するイルミを見るなんて今迄一度もない。
迂闊に近寄り起こそうとすれば首と胴がいつの間にか切り離されていたなんて事になりかねない。
しかも敷地内に試しの門を開けてきたとはいえ、侵入者に警戒を示さないなんて有り得ない。
大声で呼べと思うだろうがイルミの攻撃範囲内だとやはり身の危険を感じ手が出せずにいた。
「一体どうなってんだよ…！ Aチャンの仕業って訳じゃなさそうだし…クソッ！！」
Aが寝返りをうちそうになるとイルミが無意識にAを固定する。
実はAの隠れファンなミルキ。
暗殺依頼が初めて入りデータ収集をしている時からマークしていた。
フィギュア収集、ゲーム、いわゆるオタクなミルキは画面越しのAを一目で気に入った。
アイドルの様な愛想もないが、笑顔の時に見えたえくぼにノックアウトされもう５年は経過。
だからイルミがAを連れて来た時
「イル兄マジで連れて来たのか…」
そう呟いてしまったのだ。
.
「これはこれは…生のシルバ＝ゾルディックに会えるとは光栄だ」
「イルミから話は聞いている、窓から入ってこないで欲しいものだな」
ヒソカは執事と遊ぶだけ遊び、撒いてゾルディック家のベランダに到着していた。
迎えたシルバは招いていない客は消しておきたいと思うがヒソカはAを知る重要人物。
イルミとはインナーミッションで意見が分かれている為、生かしておく事にした。
Aへの警戒はもうほぼないが、イルミの操作次第で何が起こるか分からない。
「Aに随分ご執心だそうで…やだなぁ…あんなに可愛い執事を沢山抱えている癖にねぇ」
「今すぐお前を潰してもいい。 俺は依頼がなくともやる時はやる。 言葉には気をつけろ」
「…はいはい」
シルバの脅しは本気だし、Aの無事を確認出来ないヒソカは大人しくする事にした。
今頃Aとディナーを楽しんでいる予定だったヒソカ。
全てを台無しにされたが伝説の暗殺一家にお目にかかれるんだ、と自分を戒める。
楽しみはひとつでも多くとっておきたいヒソカはこんな事態だがAに感謝する。
「Aは可愛いだろう？ でも君達の思う通りにはならない」
目を細め笑うヒソカ。
「…それはどうかな」
不敵な笑みを返すシルバだった。
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作者名：ゆーじ | 作成日時：2018年1月16日 9時
