7：旅立ちは突然に〜ミルキSIDE〜 ページ9
母のけたたましい叫び声が聞こえる三分前。
可愛い妹のAはパパに呼ばれ、長期外出の許可が下りたそうだ。
昔から活発で笑顔を絶やさないAだが、家の誰かが仕事で外に行く、となったとき少し羨ましそうな顔をしていたのを覚えている。
パパもママもそれを知っていた。
けれど、パパはともかくママはAを常に箱入り娘状態。
長男のイルミも、末っ子のカルトもAをあまり外に出したがらない。
そりゃ外には危険がいっぱいだ。
幼いAの命に関わることがあったらたまったものじゃない。
けれども、俺はAに外の世界を知って欲しかった。
何をするにも一人での行動は許されず、誰かしらAのそばにいる。
さすがに幼いながらに苦だと思う。
だから俺は外に行ってもいい、と思っているのだが。
「あああ、お父様は何を考えているの！！！」
「お姉さまッッ、いかないで！！！！！！」
「A、考え直そう？ 行きたいところがあるならお兄ちゃんと行こう？ 欲しいものがあるならお兄ちゃんがなんでも買ってきてあげるから」
……なんなんだ、このヒステリック三人組。
この三人の発狂に対し、Aはニコニコしながら荷造りを済ませる。
服も、普段着ている巫女風の服からノースリーブの着る式の白いパーカーで黒の短パンに変わっている。
出かける気満々だな。
「お母様もお兄様も、カルトも心配しすぎだよ。 ぼくなら大丈夫、ほら！ 筋肉だってついてるし！」
自慢げに腕を見せるA。
力こぶないぞ〜
俺がそう言うと、気のせいだよ。と笑っていた。
「本当に考え直しましょう、Aちゃん。 お外には危険がいっぱいなのよ？」
「大丈夫ですよ、お母様。 それに何かあれば、お兄様たちが守ってくれるのでしょう？」
ピクッとイルミとカルトが肩を震わす。
そういえば、アル…いや、四人兄弟全員Aを守るって契りを交わしてたな。
それが裏目に出るとは。 A…いつからそんなに計算高くなったんだ。
「ぼくの身に何か起こればイルミ兄さま、飛んできてくださるんですよね！」
「……そりゃあ、そうだけど」
「カルト」
「は、はい！」
「ぼくが怪我をしたら、手当てしに来てくれるんでしょう？」
「…そ、そうですけど…」
Aの方が一枚上手だな。
こうしてAは人生初の一人旅をすることになった。
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RT - とても面白いです！続編頑張ってください！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ(プロフ) - 続編が出るのを心からお待ちしております！ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 471f321dcd (このIDを非表示/違反報告)
シベリアンハスキー(プロフ) - 凄く続きが気になります！！更新お願いします！頑張ってください！！ (2017年10月29日 3時) (レス) id: a9a6ccf11e (このIDを非表示/違反報告)
お凛 - すごく面白い！続きがとても楽しみです！更新頑張ってください^ ^ (2017年9月7日 13時) (レス) id: 86a1ba0e04 (このIDを非表示/違反報告)
カクテル - 更新早くお願いします！（＾∇＾） (2017年8月16日 16時) (レス) id: 1f958aadd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月25日 2時
