30：幻影旅団〜フィンクスSIDE〜 ページ34
昨日旅団に入った子供は、もうすでに蜘蛛になじんでいた。
ナイフを手入れしながら俺の横に座る子供は“A”と言った。
女のような名前で顔だちも中性的。 筋肉も異常なほどにないため本当に男か、と疑いたくなるほど。
だが一人称が“ぼく”であることとオッサン二人(ノブナガとウヴォー)に囲まれて嫌な顔をしないあたり、男であるのだろう。
Aは小さく欠伸をしながらナイフをローブにしまった。
「なんだ、寝不足か」
俺がそう言うとAは、まあ。 とあいまいな返事をした。
聞けばいびきがうるさくて眠れなかったそうだ。
神経質っぽいから、相当ストレスたまるんだろうな。
「フィンクスさ…フィンクスは、あんないびきの中で眠れるの？」
様付けと敬語を禁止されたAはハッとしたように言いなおす。
俺は慣れれば平気だろ。 と短く返した。
「ぼく、初めていびきというものを聞いたよ。 睡眠時の呼吸に伴う騒音とは知ってはいたけど、まさかあんな音だったとは」
いびきをそういう風に理解しているとは。
間違っちゃいないだろうが、子どもにしては…というか、全体的に変わっている。
だから団長は気に入ったのか？
たしかに店で見たときオーラを押し殺すように潜めていて面白いな、とは思ったけど。
しかも力がない代わり頭と法則を使って一般人とはいえ武装した相手を倒すとか。
こんな子供に？ そう思ったが目の前で起きたことが現実なのに変わりないから信じるしかないだろう。
……もちろん、団長が入れよう、と言ったのは予想外だったが。
俺は正直、全面的に反対ではなかった。
頭がキレてオーラの使いどころを分かってる。
それに加えて戦うための術を、技術を持っている。
だがやはり力がない。
それが俺の反対要因だった。
「…なあ、お前、今まで持ったもので一番重いものってなんだ？」
俺がそう言うとAは考える素振りをして顎に手を添えた。
「……ううん？ 刀かな。 両手で一本しか持ったことないけど」
あれ振り回すの片手じゃ絶対無理。
その言葉に俺はガックリと肩を落とした。
「…うん、そうだよな、刀……重いよな…」
もうなんて言っていいか分からない。
そして俺は決めた。
……筋力をつけさせよう。
団長に相談した結果ローテーションでAの筋力アップの訓練につくことになった。
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RT - とても面白いです！続編頑張ってください！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ(プロフ) - 続編が出るのを心からお待ちしております！ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 471f321dcd (このIDを非表示/違反報告)
シベリアンハスキー(プロフ) - 凄く続きが気になります！！更新お願いします！頑張ってください！！ (2017年10月29日 3時) (レス) id: a9a6ccf11e (このIDを非表示/違反報告)
お凛 - すごく面白い！続きがとても楽しみです！更新頑張ってください^ ^ (2017年9月7日 13時) (レス) id: 86a1ba0e04 (このIDを非表示/違反報告)
カクテル - 更新早くお願いします！（＾∇＾） (2017年8月16日 16時) (レス) id: 1f958aadd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月25日 2時
