27：幻影旅団〜夢主SIDE〜 ページ29
あちらこちらから聞こえる盛大ないびき。
生まれて初めて聞くその音にぼくは驚きを隠せず眠れずにいた。
隣には目を閉じ、落ち着いた呼吸をするシャル。
逆側にはシャルとは対照的に豪快ないびきをかいているウヴォーがいた。
先ほどまでやっていた宴会で旅団全員(フェイタン様を除く)の呼び捨てを義務付けられたぼくは心の中で何度もみんなを呼び捨てる練習をしているのですが…
「……」
さっきからフェイタン様がずっとこちらを見ております。
フェイタン様は眉を潜めぼくをじっくりと観察している。
何か不審な動きはないか、と警戒をしているのだろう。
気持ちは分かる、それはもう大いに。 けれども、それにしても見すぎではないだろうか。
「ふ、…ぁ」
……さすがに眠い。
生理的に出てしまう欠伸を咄嗟に抑え、口元を手で覆う。
寝たい、寝たいことはやまやまなのだが…見られてるしこのいびきだ、寝れない。
そんなぼくを見つめ、フェイタン様はゆっくりと口を開いた。
「なぜ寝ないか。 寝ればいいね」
本当、そうしたいです。
ぼくは内心で突っ込んだ。
「……えへ、なかなか寝られなくて。 フェイタン様は寝ないのですか？」
「……ワタシの勝手(かて)ね」
ああ…そうですか……。
いきなり会話終了で返す言葉もございません。
ぼくはもう一度欠伸をし、重い瞼を一生懸命開いた。
「お前、変ね」
「！？ えっ」
突然の発言にぼくは意識が覚醒する。
変！？ え、えっ…ぼく何かした？ してないよね？
そう混乱しているとフェイタン様は眉を潜めたままぶっきらぼうに言い放った。
「ガキのくせにワタシたちのこと見ても怖がらないし、しかもサインと拇印が欲しいていうなんて、頭おかしいね」
「えー…」
何故か好き放題言われてる。
面白いはここにきて言われ慣れたけど、頭おかしいって…初めていわれた。
少しショックを受けながらぼくはフェイタン様の話を聞いていた。
「ワタシ、お前嫌いよ」
これまた直球。
割と傷つく。
さすがに困って、ぼくは頬を掻いた。
「え、と……じゃあ好きになってもらえるよう、頑張りますね？」
自分でも思った。
何を言っているのだろうと。
だがここにいる以上みんなと仲良くならないといくつ命があっても足りない。
……それに、嫌われるよりも好かれたほうがいいに決まっている。
ぼくは精一杯笑ってみせた。
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RT - とても面白いです！続編頑張ってください！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ(プロフ) - 続編が出るのを心からお待ちしております！ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 471f321dcd (このIDを非表示/違反報告)
シベリアンハスキー(プロフ) - 凄く続きが気になります！！更新お願いします！頑張ってください！！ (2017年10月29日 3時) (レス) id: a9a6ccf11e (このIDを非表示/違反報告)
お凛 - すごく面白い！続きがとても楽しみです！更新頑張ってください^ ^ (2017年9月7日 13時) (レス) id: 86a1ba0e04 (このIDを非表示/違反報告)
カクテル - 更新早くお願いします！（＾∇＾） (2017年8月16日 16時) (レス) id: 1f958aadd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月25日 2時
