【ﾊｲｷｭｰ!!】リアル鬼ごっこ

三三話 ページ37

『はい!!岩泉一アウトだねww』




俺たち烏野三年組、もとい、俺、スガ、旭、清水は廊下でこの放送を聞いた。

アウトという放送は、おそらく死を意味する。



東「アウトって……」




元々臆病な旭は、いつも以上にへなちょこ丸出しだった。

まあ、無理もない。
いつもは冷静だとか、肝が据わっていると言われることが多い俺も、今のこの状況に強い恐怖を感じている。


これから先、どうなってしまうのだろうか？






菅「俺たち、これからも"みんなで"バレーできんのかな?」





そんなこと、誰にも分からないんだ。
保証だって無い。
だけど、戻りたい。仲間と過ごす平凡な日常に。






清「分からない。でも、私は信じてる。」




みんな静かに頷いた。
もちろん、俺も。

それから会話はなかった。
ただ静かに、俯いたままだった。




そんな刹那………








東「大地!」

澤「何だよ、急に飛びつくな、暑苦しい。」



突然、いつもはおれを怖がって触れてすらこない旭が、焦った顔をして飛びついてきた。




清「東峰!!」

澤「え？旭どうしたん……」






俺の服に赤い模様が広がっていく。


旭が俺を庇った。
俺を庇って、刺された。

反対方向に歩いていく影が見えた。おそらく、あいつがやったのだろう。






……………あいつは

…………音駒のセッター。









旭、何で俺を庇ったんだ。お前バカだよ。




澤「何やってんだよお前。何で俺なんか……」


東「なんか、とか、言うな。大、、地……………烏野の主将だろ？
　 一か月も、サボって、逃げた………俺、より……………………………バレー部に必要なのは…
　 大地なんだ。
　 また、みんなで…バレーやるんだろ？
　 だから……それまで………………またな、みんな。楽し………かった。」









何カッコつけてんだ。いつものへなちょこは何処行ったんだよ。


お前だって、大切な仲間なんだ。
居なくならないでくれよ。




涙がこぼれそうだった。
けれど、今ここで泣くわけにはいかなかった。




俺は主将だ。




こんなところで落ち込んでたまるか。
泣いてたまるか。


俺が引っ張るんだ。






仲間の分まで、生きるんだ。
ほかの奴らを、生かすんだ。






澤「スガ、清水、行くぞ。」




俺たちは静かに歩きだした。



『東峰旭アウトぉ〜』




仲間を失った苦しさは、重く俺にのしかかってきた。

だけど、旭に感謝しなくては。







東峰旭 死亡
残り人数 ２２人

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