お や つ の 時 間

０８．少し可愛くないお強請り ページ8

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ヌナは女の子グループの舞台を見るのが好きだ。
推しはいないのにどのグループの舞台でも見ている。今も小さい顔を俺の肩に置いてテレビに夢中になってる。話しかけても適当に返すくらいでどれだけ集中してるのって感じだけどヌナの集中力は半端ない。

男性グループに入って不満とかやっぱり女の子だからそういう可愛い歌とか可愛い振り付けをしたいとか可愛い衣装を着たいとかあるのかな。スタイリストさんが気を使ってたまには可愛い衣装を着させるのも多いくらいに、コンセプトで露出多めだったり首輪とかのアレな小物を着けられるのが多いから気になってたけどそれを気に入ってたりもするからヌナの好みがよく分からない。

「 ぬな もう眠たくなってきちゃった 」

こう甘えた声で言えばヌナは俺の手を取って部屋に連れてってくれる。そのおねだりをすればお昼寝の時間として俺を可愛がってくれるヌナが好き。俺を可愛いと言ってくれるヌナが好きだから可愛こぶるのを辞められない。お昼寝の時間だけでなく俺が夜眠れない時はゲームを中断してまで一緒に寝てくれるもん。

「 はー ふかふかだ おれの大好きな匂い 」

布団に染み付いたヌナの匂いは甘くて暖かくてお日様の下にいるみたいに良い気持ちになるから部屋の空気を全部吸い取ってカプセルに入れていつでも匂げるようにしたいけど、近寄ったらいつでも嗅げるし別にいいや、なんて思いながら温かい布団に包まった時にふと思う。ヌナはなんでこんなに甘いんだろう。たまにツンツンとした毒舌を呟くこともあるけど俺にはすごく甘く接してくれる。まあ俺だけに甘くしてるってことはないと思うけどそう思いたい。俺が よしよしして、ほっぺにちゅうして、えらいえらいして、褒めてーっておねだりをすればしてくれるんだもん。

「 ぬな ちゅうして 」

このお願いだって許してくれるでしょう？でもヌナは保育科の学校に通ってたからか俺を上手に甘やかして赤ちゃん扱いでいつものように誑かす。俺はもう赤ちゃんじゃないの。ちゃんと成人したんだよ、もう大人なの。ヌナの前だからこうやって大人しくしてるだけでおねだりをしなくても自分からできるんだよ。

「 ね、いいからはやくしてよ 」

痺れを切らして言えばベッドで肘をついてスマホを弄っていたヌナと目が合う。初めてキスをするわけじゃないのに息をするのが苦しいほど胸がザワついた。




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