マフィアとの会合1 ページ7
あれから4日後。
Aはとある15番街の倉庫に来ていた。
ある情報網からこの倉庫で例の“虎”が現れるというのを聞きつけたからだ。
彼女は倉庫内には入らず、入口付近のドラム缶の裏に身体を預けて寄りかかっている。
倉庫内からはドタバタと大きな物音と共に虎のような猛獣の鳴き声が聞こえる。
(わぁ。派手にやってるなぁ、太宰さん。
うーん、やっぱりあの少年が人虎の正体。さて、区の災害指定猛獣を太宰さんはどうするかな)
彼女は楽しそうにニコニコと笑って
「それにーーーーー何やら彼は人気者みたいだしね」
そう呟いた後寄りかかっていたドラム缶から離れ、倉庫を後にして次の取引現場に向かった。
Aが次にやってきたのは、地下道。取引のためである。
薄暗い中壁に寄りかかって取引相手を待つ。
少しすると、奥からコツコツと足音が。
来たか、と彼女は壁から離れた。
「ゴホゴホッ。」
現れたのは男。真っ黒いコートに身を包み、髪の毛も真っ黒。だが、毛先は白くグラデーションがかっていた。
風邪でも拗らせているのか咳をしており、口元を手で押さえている。
「時間通りだね。ーーーー大丈夫?また咳が酷くなってない?龍くん。」
「その呼び方は止めろと言っているだろう、A。僕は子供ではない。」
「はいはい、そうだったね。芥川くん。」
薄暗い中だが、不機嫌そうな顔をした芥川の表情がAの目でしっかり捕らえられる距離まで近づいた。
「それで、情報は。」
「せっかちだなぁ。依頼の人虎の情報ね、分かってるよー。
彼の名前は中島敦。虎に変身出来る異能力だね。本人は異能力をまだ操れないみたいだよ。変身してる間の記憶は全くない。汎用性が高そうな異能だね。ま、本人の使い熟し次第だと思うけど。」
芥川に促されたAは、スラスラと人虎について話す。
「ふん、それが太宰さんの新しい玩具か。」
芥川はまた不機嫌そうな顔。対しAはニヤニヤと口角を上げ、彼の顔を下から覗き込むように少し首を傾げる。
「なぁーに?やきもち妬いてるの?相変わらず太宰さん大好き男だなぁ」
「そんなものではない!ただ、僕はあの人に認められたいのだ!」
「太宰さんは龍くんの事気に入ってるし期待してると思うけどな。ほら、あの人ちょっと捻くれてるからハッキリ言わないじゃん?ーーあ、ちょっとどころじゃなくて大分、捻くれてるか」
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かんぷ(プロフ) - せなさん» ありがとうございます☺️最近忙しくてなかなか更新できないのですが、読んでくださって嬉しいです☺️良ければまた読みにいらしてください (1月12日 21時) (レス) @page22 id: e2bef6b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - シンプルに言います。神ですね (1月9日 2時) (レス) id: fdd34e7dad (このIDを非表示/違反報告)
かんぷ(プロフ) - ふぁぁんでぇすさん» コメントありがとうございます。本当ですね😢すみません😢修正します。ご指摘ありがとうございます! (10月16日 21時) (レス) id: 6c4057c318 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁぁんでぇす - 太宰さんの一人称「私」だったような(-.-) (10月16日 21時) (レス) @page5 id: 138a5f5117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かんぷ | 作成日時:2023年10月10日 1時