言えない仕事7 ページ22
中原は軽く地面を蹴る。
彼の身体は重力を無視するかのようにふわっと浮いて、軽く10段は超える入り口の階段を飛び越え、ゆっくりと着地した。
突然の幹部の登場に、その場にいた全員が手を止め背筋を伸ばした。
中原は歩きながら
「気にせず続けろ。」
そう言うので、皆止めた手をまた動かす。
彼の足はある人物の元へ向かっていた。
ある人物とはーーーーー。
「あれっ中也さん、お久しぶりです!何かありました?」
「よぉ。A。ここは片付いてんのか?」
中原の足はAの前で止まる。
そして、極自然にポートマフィアの幹部である中原中也と会話を始めるAはやはり只者ではないのだと、彼女の存在に疑問を抱いていた一部のポートマフィアのメンバーも感じていた。
「ここは終わりました。次の仕事ですか?」
「そうだ。ついて来い。ーーーコイツ貰ってくぞ。」
中原は広津を見て言う。
広津は部下に指示を出し、先程Aが拷問をした連中から情報を聞き出している最中だったが上司からの視線をしっかりと受け取り、分かりました。と返事。
Aは何の仕事の依頼か考えているのか、不思議そうな顔をしつつも先を歩き出した中原の後をついていく。
「じゃ立原くんまたねっ広津さんも!」
挨拶を済ませたAは中原の隣に並び、自分の視線より少し高い彼の頭の先をふと見る。
「……なんか中也さん縮んだ?」
彼女の指摘に中原は光の速さで反応する。
それと同時に、その場にいた立原を始めとするマフィアの構成員達が必死に笑いを堪える。
「あぁ!?縮んでねーーよっっふざけんなっっ!お前らも笑ってんじゃねぇ!!!」
「まぁまぁ中也さん!ほら、素敵帽子が曲がってます!その分身長が低くなっちゃうから!」
叫んだ衝動で少し曲がった中原の帽子を正しながら彼を宥めるA。
「お前が言い出したんだろうがぁっ!!」
さらに叫ぶ中原を見てクスクスと楽しそうに笑いながら、Aは彼の背中を押して無理矢理出口へと歩かせる。
「はいはい、もう行きましょうね〜中也さんっ」
中原はまだ何か文句を言っていたが、彼女に押され2人はその場を後にした。
嵐が過ぎ去ったような現場に残された立原は呆れ顔だが、結局Aが何者かは分からず疑問は残ったままだった。
「なぁ、ジーサン。結局アイツって何なんだ?」
「ーーさて、何なんだろうな。」
立原に問われた広津は含みを持たせて答えた。
121人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かんぷ(プロフ) - せなさん» ありがとうございます☺️最近忙しくてなかなか更新できないのですが、読んでくださって嬉しいです☺️良ければまた読みにいらしてください (1月12日 21時) (レス) @page22 id: e2bef6b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - シンプルに言います。神ですね (1月9日 2時) (レス) id: fdd34e7dad (このIDを非表示/違反報告)
かんぷ(プロフ) - ふぁぁんでぇすさん» コメントありがとうございます。本当ですね😢すみません😢修正します。ご指摘ありがとうございます! (10月16日 21時) (レス) id: 6c4057c318 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁぁんでぇす - 太宰さんの一人称「私」だったような(-.-) (10月16日 21時) (レス) @page5 id: 138a5f5117 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かんぷ | 作成日時:2023年10月10日 1時