言えない仕事5 ページ20
広津はひとつ、咳払いをした。
その瞬間、その場にいた全員に緊張が走る。皆会話をやめ背筋を伸ばした。
「ちぇーっ。仕事かぁ。」
否。Aには緊張は走っていなかった。彼女はつまらなそうに言った。そしてさらに続ける。
「この人達が拷問対象?というか紅葉さんの拷問部隊はどうしたの?吐かせられなかったの?」
「姐さんは別件で出てんだよ。」
立原が答える。
Aはふーんと言って手錠に繋がれた2人を見る。
1人は女、後は男。
そのうち、男の顎を掴み下を向く顔を無理やり前を向かせるA。
「今私達が聞く事に答えてくれれば酷い事しなくて済むんだけど、答えてくれない?」
「……嫌だね。俺達は喋らないぜ、どんな事をしても。」
「そうか、残念。ーーーー広津さん、始めていい?」
Aは掴んでいた男の顔を離した後、彼に問う。
広津は頷く。そして、手錠に繋がれた男の名を彼女に伝えた。
名前を聞いたAは口角を上げ、繋がれていた手錠を外した。
「異能力『雲影』。」
彼女は楽しそうに言う。ーーーーーーーーー直後。
「あ"あ"あ"ぁぁぁ!!!!」
男が叫ぶ。隣にいた仲間の女は突然の事に肩を震わせ、声のする方を見た。
男は右腕を凝視し叫んでいる。逆の手で腕を押さえながら。まるで、そこから出ている血を止めるかのように。
仲間は何が起こっているのか分からない。何故なら叫ぶ男は五体満足なのだ。擦り傷どころか血の一滴も流れていない。
「ど、どうしたのっ!?」
「うっ!う、うでっっ!!腕が!!!」
混乱しているのは彼らだけではない。周りで見ていたマフィアの連中もだ。彼らには男がただ叫んでいるようにしか見えていないのだ。
Aは笑顔のまま。
「はい、次ーっ。」
すると、次に男は押さえる手を肩に移した。そしてさらに叫び声をあげる。
「な、なにっ!どうしたのよ!?ーーーーあんた!彼に何をしたの!!!」
「ーー何って…拷問、だけど…。あなたのお仲間は今、腕を斬られた激痛に苦しんでるよ?可哀想ねぇ?もしあなたがこちらの質問に答えるならやめてあげてもいいけどっ」
「っっ…。」
女は隣で苦痛に悶える男を横目に見て顔を歪ませる。
対し、男は苦痛に耐えた合間で仲間に必死に伝える。
「お、おい…ぁあ……ぜ、絶対…いうな…」
一連のやり取りをずっと見ていた立原は苛立ったのか舌打ち。
広津は壁に寄りかかっている。
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かんぷ(プロフ) - せなさん» ありがとうございます☺️最近忙しくてなかなか更新できないのですが、読んでくださって嬉しいです☺️良ければまた読みにいらしてください (1月12日 21時) (レス) @page22 id: e2bef6b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - シンプルに言います。神ですね (1月9日 2時) (レス) id: fdd34e7dad (このIDを非表示/違反報告)
かんぷ(プロフ) - ふぁぁんでぇすさん» コメントありがとうございます。本当ですね😢すみません😢修正します。ご指摘ありがとうございます! (10月16日 21時) (レス) id: 6c4057c318 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁぁんでぇす - 太宰さんの一人称「私」だったような(-.-) (10月16日 21時) (レス) @page5 id: 138a5f5117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かんぷ | 作成日時:2023年10月10日 1時