言えない仕事4 ページ19
広津はある場所にいた。
そこは壁からぶら下がる幾つもの手錠の錆びついた匂いや、壁や床に無数に飛び散る血のせいか生臭い匂いもする。
所謂拷問するための場所。
そして、そこには手錠に繋がれた人物が2人。憔悴してるのか床を見るように項垂れている。
その2人を取り囲むように、銃を装備したマフィアの下級構成員が並ぶ。
広津はいつものように煙草をふかしていた。
そんな淀んだ空気の場所へなにやら騒がしい声が遠くから響く。
「なんだ、外が騒がしいな。」
広津の部下が何人か声のする入り口に様子を見に行こうとしている。
対して広津は声の正体が分かっているのかそれを止める。
「いい。放っておけ。こっちが呼んだんだ。」
声は段々と近づいてくる。
「そんなんだから銀ちゃんにも相手にされないんだよ!」
「あ!?なんでそこで銀が出てくるんだよ!それよりなんでお前が先頭歩いてんだっ!」
「立原くんがチンタラ歩いてるからじゃない?案内役が私に案内されてちゃ意味ないねぇ?」
「誰がチンタラしてるって!?そもそもお前がーー」
騒々しい声の正体が現れる時、その場にいた全員が視線を送っていた。
そこに現れたのは立原とA。先に入り口に現れたAは、すぐに広津を見つけて、少女のように目を輝かせる。彼女のすぐ後に入ってきた立原は、広津からの冷たい視線に先程まで饒舌に話していた口を閉じた。そして心の中で思う。
(やべぇっジーサンキレてる。)
Aは、入り口から拷問部屋へと続く階段を降りて真っ直ぐ広津の元ヘ。
「広津さんっ!久しぶりに会ったけど相変わらず渋くてかっこいいっ……」
「A、あまり老耄を揶揄うもんじゃないよ」
「声も相変わらずかっこいいっ……!」
Aはさらに広津に近づく。
広津は、いつもの事で慣れているのかはいはいと彼女をあしらっている。
遅れて階段を降りる立原は、彼女の自分への対応との違いに苛立つ。
「なんで俺とジーサンでそんな態度が違ぇんだよ!」
Aは立原の言った事が聞こえているのかいないのか、飽きもせず広津を見てかっこいいと呟いている。
拷問をするための部屋に似合わないこの空気感にポートマフィアの部下達は戸惑っている。中には、マフィアに属さないAがこの場にいる事を疑問に思う者もいてコソコソと話をしていた。
「あのガキ誰だ?あんなのを広津さんが呼んだのか?」
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かんぷ(プロフ) - せなさん» ありがとうございます☺️最近忙しくてなかなか更新できないのですが、読んでくださって嬉しいです☺️良ければまた読みにいらしてください (1月12日 21時) (レス) @page22 id: e2bef6b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - シンプルに言います。神ですね (1月9日 2時) (レス) id: fdd34e7dad (このIDを非表示/違反報告)
かんぷ(プロフ) - ふぁぁんでぇすさん» コメントありがとうございます。本当ですね😢すみません😢修正します。ご指摘ありがとうございます! (10月16日 21時) (レス) id: 6c4057c318 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁぁんでぇす - 太宰さんの一人称「私」だったような(-.-) (10月16日 21時) (レス) @page5 id: 138a5f5117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かんぷ | 作成日時:2023年10月10日 1時