入社試験4 ページ12
犯人役を頑張る谷崎の頭にAの声が響く。
【ねぇ、谷崎くん。さっきから国木田さんが超こっち見てるけど、もしかしてナオミちゃんが来れなくなった事言ってないの?】
Aは身体をロープに縛られ口元にはタオルを噛まされ、目には涙を浮かべている。何故なら人質役の最中だからだ。
【あっ…わす、れたね…】
【だよねー。谷崎くんが迫真の演技をしてるのにすごいこっち見てたもん。さっきも太宰さんが敦くんに私の事“バイトの事務員さん”って言った時も首取れそうな勢いで振り向いてたんもね。笑いそうになっちゃったよ…】
谷崎とAの目の前では、太宰と国木田がじゃんけんをしているが彼女達の会話は誰にも聞こえない。
【絶対後で国木田さんに注意されるなぁ】
【今私が国木田さんに伝えるよ。だから怒られるのは谷崎くんだけねっ】
【わー嫌だなぁ。太宰さんには伝えなくていい?】
【太宰さんは異能無効化されちゃうからこの手の異能も使えないよ。まぁ太宰さんは大丈夫だよ、あの人は何でも分かってるし。】
谷崎にそう伝えたAは、じゃんけんで国木田が負けた事に気づき先程同様、一言も声を発さずに国木田に事のあらましを伝える。
国木田は分かりやすく溜息をついた後、立ち上がり谷崎に近づく。
現状を理解し、入社試験を続行する。
「おい、落ち着け少年。」
「来るな、社長以外に用はない!!」
試験はシナリオ通りに着々と進み、太宰に言いくるめられた敦が新聞配達員を装って、震える足で谷崎の前に出て来た。
「幾ら憎くいからって人質とか、爆弾とか良くないよっい、生きていればきっと良いことがあるっ」
声は上擦り、震えている。
「良いことって?」
谷崎の問いに、見切り発車だったのか敦は少しの間言葉を詰まらせた後
「………ち……ちゃっ……茶漬けが食えるっっ!茶漬けが腹一杯食えるっ!天井がある所で寝られるっ寝て起きたら朝が来るっ!!当たり前の様に朝が来るっ!…………でも…爆発したら、君にも僕にも朝は来ない。何故なら死んじゃうから…」
社にいる全員が思った事を谷崎が代弁する。
「そんな事分かってる」
敦は極普通の事を、本気で良い事だと思って真面目に言っているのだ。
「いやぁ…やめた方がいいと思うけどなぁ……だって死んじゃったら…死んじゃうんだよ!?」
矢張り彼は真面目に谷崎に語る。
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かんぷ(プロフ) - せなさん» ありがとうございます☺️最近忙しくてなかなか更新できないのですが、読んでくださって嬉しいです☺️良ければまた読みにいらしてください (1月12日 21時) (レス) @page22 id: e2bef6b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - シンプルに言います。神ですね (1月9日 2時) (レス) id: fdd34e7dad (このIDを非表示/違反報告)
かんぷ(プロフ) - ふぁぁんでぇすさん» コメントありがとうございます。本当ですね😢すみません😢修正します。ご指摘ありがとうございます! (10月16日 21時) (レス) id: 6c4057c318 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁぁんでぇす - 太宰さんの一人称「私」だったような(-.-) (10月16日 21時) (レス) @page5 id: 138a5f5117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かんぷ | 作成日時:2023年10月10日 1時