喫茶処1 ページ2
現在時刻は13時。日曜の此の時間は流石に人が多い。
街中に佇む緑が多く植えられた如何にも最近の若者が好きそうなカフェ。
店内にはカウンター席だけでなくゆっくり寛げそうなソファ席もあるが、席はカップルやら女子会をしてるであろう数人の女子グループやらで埋め尽くされていた。
店員は目まぐるしく動き回っていて忙しそう。
「いやあーーー。実に忙しそうだねっ。」
そこに呑気な声をさせて現れた男。さらに呑気そうに、片手の側面を額にくっつけて誰かを探すようにぐるりと店内を見渡す。
「お客様、お待ち合わせでしょうか?ーーーーーーー!!」
呑気な男に声をかけた店員だったが、彼を見て驚く。
それもそうだ、洋服の隙間から垣間見える腕や首元は真っ白な包帯が綺麗に巻かれていたからだ。
「いーや。まだ来てないみたいだ。でも店内は満員のようだね。」
「テラス席でしたらすぐご案内出来ます。」
「お願いするよ。」
包帯の男の返事を聞くと、店員は席へ案内する。
男は用意された銀色の華奢な椅子に腰掛け、目の前に置かれたまだ誰も座っていない椅子を見つめる。そして、独り言のように呟く。
「2人席、か。」
そこに先刻案内をした店員が戻ってきて、彼に声をかける。
「ご注文はお決まりですか?ーー太宰さん。」
太宰、と呼ばれたその男はふっと笑った後
「うーん、そうだねぇ」
メニューに視線を落としながら、すらっとした綺麗な指で自分の顎先を触る。さらに空いているもう片方の手は店員の手を握っている。
手を握られた店員は何もない空間を一瞬ぼーっと見つめた後、はっとした様子。まるで何かに操られていたのに醒めたかのように。
そして、すぐに顔を真っ赤にする。彼女の目線の先には太宰に握られた自分の手。
「あ、あ、あのっ。おっお客様っっっ。」
「いやぁ。あんまりにも綺麗な女性だったから。良かったら私と一緒に心中してくれないかい?」
あたふたする店員を楽しそうに見ている太宰が、彼女のもう片方の手を握ろうとする。
「ちょっと!!太宰さん!!」
店員とは別の女の声は太宰の頭の上から降ってきた。
太宰は声のする方に向かって顔を上げる。
「やぁ。A。遅かったじゃないか。」
Aは彼の言葉に少しだけ眉をひそめ、何か言いたげ。
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かんぷ(プロフ) - せなさん» ありがとうございます☺️最近忙しくてなかなか更新できないのですが、読んでくださって嬉しいです☺️良ければまた読みにいらしてください (1月12日 21時) (レス) @page22 id: e2bef6b9e2 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - シンプルに言います。神ですね (1月9日 2時) (レス) id: fdd34e7dad (このIDを非表示/違反報告)
かんぷ(プロフ) - ふぁぁんでぇすさん» コメントありがとうございます。本当ですね😢すみません😢修正します。ご指摘ありがとうございます! (10月16日 21時) (レス) id: 6c4057c318 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁぁんでぇす - 太宰さんの一人称「私」だったような(-.-) (10月16日 21時) (レス) @page5 id: 138a5f5117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かんぷ | 作成日時:2023年10月10日 1時