黒帽子が十つ ページ11
道を変えてから二週間が経った。
中原と会うことは一度も無く、初日はあんなに心臓をばくばくさせていたAだったがそれまでで、今日も特に何も意識すること無く出社した。
もう会うことはなかろう、元の道に戻そうかと考えてしまう。其れ程に緊張感が薄れていた。
書類や依頼は昨日までに済ませてしまった為、やることの無いAはふらふらと一階に降りた。
入口付近で、重そうな黒い箱を持った国木田が足をふらつかせているのが見えた。お人好しな部分があるAは、咄嗟に駆け寄って荷物を支える。
国木田は突然の出来事に吃驚した様な表情を見せたが、すぐにいつもの顔に戻った。
置くように指示されていたのだろう机に荷物を置く。Aはふう、と溜め息をついた。
国木田が何かを言おうと口を開いた時、耳を劈くような破壊音と、強い地鳴りが起こった。
察する辺り近くだ。国木田も同じ事を思った様で、こちらに視線を送った後外に飛び出した。
この状況下で何もしないなんて出来ない。Aも後を追った。
数百メートル程離れた錆びれた倉庫。先程の原因はここからだ。
中では、黒い外套を自由自在に操る__芥川。其の視線は敦を捉えていた。
Aは大体を察した。恐らく「人虎!」とでも云うのだろう。
会う度に人虎、人虎、と叫んで、果たして敦の名前は覚えられているのだろうか。中島人虎なんて云うものなら幾ら何でも許せない。異能の威力を最強にして吹っ飛ばしてやる。
……攻防戦だ。終わる気配が無い。
Aが口元に手を寄せた時、背後の扉が開き__正しくは壊れ、人影が浮かび上がった。
「野次馬が集まってるぞ。派手にやらかし過ぎだ!」
其の声に、Aはぴくっと反応する。
そんな動きを横目に見た彼は、一度視線を外しもう一度凝視した。所謂二度見。
「中で手前いるんだよ!?」
「貴方こそ何で来たんですか!?」
普段大声など出さないAが声を荒らげる。彼__中原は「何で逆ギレされなきゃいけねェんだよ」と少々呆れ気味に呟いた。
〜・〜・〜・〜
文字数。
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ちくわの国の深井さん(プロフ) - 姫蛍さん» TKです(( 文才ないので渡せませんw (2017年7月28日 21時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - そうですね!!TKですね!!…文才くださいw (2017年7月28日 21時) (レス) id: eab093c7da (このIDを非表示/違反報告)
ちくわの国の深井さん(プロフ) - 姫蛍さん» コメントありがとうございます!TK(中也はかっこいい) (2017年7月28日 21時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 中也かっこいい・・・そして、いろいろと羨ましいぞ、夢主ぃぃぃぃ!! (2017年7月28日 21時) (レス) id: eab093c7da (このIDを非表示/違反報告)
深井さん(プロフ) - 千夜ママンさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです♪中也の腹筋絶対に割れてますよ……サワサワ……← (2017年4月25日 18時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:深井さん | 作成日時:2017年4月9日 20時