灼熱のヒマワリ・2 ページ38
いつかの太輔の微笑みと、二人でシリカゲルに埋めた薔薇が脳裏に浮かぶ。
そうだ。太輔と作ったドライフラワーは、そろそろ開けてみなきゃいけない。
太輔もできたら見せてほしいって言ってたし、…もし。もし、明日太輔が店に来るなら…報告、できるし。
明日、来るんだろうか。太輔は。
ざわざわと変な胸騒ぎと、理由のわからない動悸がオレの息を止めようとする。唇を噛みながらクローゼットの中にしまった密閉容器を取り出して、そっと蓋を開けてみる。ぎっしり詰められたシリカゲルを指で掘ると、色鮮やかな赤薔薇のドライフラワーが姿を現した。
「っ、できてる…」
呆然とした呟きが、勝手に転がり落ちた。
綺麗なドライフラワーだ。ちゃんとできてる。予想してた以上に綺麗で、驚きがおさまらなくて、なんでなのかよくわからないけど…なんだか、ちょっと…嬉しい。
じわじわと上がってくる気分と同時に、太輔の顔が浮かんだ。
明日ちゃんと伝えないと。綺麗に出来てたって。
きっと太輔はすごく喜んでくれるんだろうなと思うと同時に、太輔の顔を見るんだと思うと、緊張で少しだけ心臓が痛くなった。
翌日のオレは、朝から調子が狂いっぱなしだった。
太輔がきっとくる。
太輔は来ないかもしれない。…いや、来る。
そんな事を延々と考えながら店に来たからドアの開く音がするたびに心臓がぎゅうっとなって激痛が走るし、アレンジメントは失敗するし、包装紙を取ろうとして床に全部落とすし、パンジーの苗を蹴飛ばして倒すしで、午前中は散々だった。
オレがこんな事になってる原因を、おそらく正確に察してるであろう千賀と宮田に苦笑いされながら見守られてる。
「横尾さん、待ちきれないのは分かるけど落ち着いて。藤ヶ谷さんが来るのは午後からでしょ?まだ今は来ないよ」
「はっ!?ちが、待ちきれないとかじゃなくて」
「うん、わかる、わかるよ。恋人だもん。早く顔見たいよね」
「いや、恋人じゃない…」
「昨日と一昨日は会えなかったもんね。いつもよりドキ ドキするね、楽しみだね」
「いやだから、そうじゃなく…」
「大丈夫、藤ヶ谷さんが来たら俺達はちゃんと奥に引っ込むからね。二日ぶりなんだからゆっくり顔見てお喋りしないとね。藤ヶ谷さんから元気貰って、午後もお仕事頑張らなきゃいけないからね」
「だから!ちがうって言ってるだろ!」
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風華(プロフ) - ソフィアさん» 二人のお話を見届けてくださり、ありがとうございました。コメントもありがとうございます(*´▽`*) お互いの求めるものや背負った傷の違いが成り立たせる二人の関係を、少しでも描くことができていたら嬉しいです(^-^) (2021年5月10日 12時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - なかのさん» 最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます!更新は不定期ですが、作品の執筆自体は続けていくつもりですので、また見つけてくださった際は是非よろしくお願いします(*´人`*) (2021年5月10日 12時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - わたちゃんのピンと張り詰めて今にも切れそうなのと、たいちゃんのところどころ擦り切れてやっぱり切れそうな二人の心の糸が寄り添うことで、切れることなくしなやかに輝きを放っていくかのようなお話で素敵でした。ハッピーエンドで良かったです。 (2021年5月9日 21時) (レス) id: 06f6b1f19d (このIDを非表示/違反報告)
なかの(プロフ) - 凄く素晴らしいお話しでした。毎回更新が楽しみで夢中になって読んでいました。また、お話し楽しみにしています。 (2021年5月9日 13時) (レス) id: 3b49c20ebb (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - はしもとさん» コメントありがとうございます!今回の設定、気に入って下さってすごく嬉しいです( ;∀;) 他メンの事にも触れていただいて…yさんとわちゃわちゃお仕事してる風景を想像した時に、この二人が似合うかなあと思いました(。-∀-) いつも本当にありがとうございます♪ (2021年2月26日 23時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風華 | 作成日時:2021年2月21日 16時