棘と花びら・3 ページ10
「っだ、だって!し、しかたないだろ…まだ綺麗に咲いてるのに捨てるの、可哀想だし…」
『うん。前にお邪魔した時も飾ってくれてたよね。俺の愛を捨てずにそばに置いて育ててくれてる渉が、俺は大好きだよ』
「だ、から!ちがう!そういう意味じゃ…!」
『ふふっ。でも、ついに飾れないくらいになっちゃったんだね。俺の愛に包まれながら目覚めて眠る渉…想像しただけで愛おしいなあ』
「たいすけ!」
もうそれ以上言うなという気持ちを込めて、彼の名を叫ぶ。それでもまだ、ふふふっと楽しそうに笑い続けるものだから、オレはついに、へなへなと床に座り込んでしまった。
手に持っていた花瓶の底が床に触れて、コト、と重い音を立てる。
これは与えられた愛の重さなのか、はたまた、その愛を受け止める器の重さなのか…そんなクサイ文句を思い浮かべてしまった自分にも、恥ずかしくなる。
オレもとうとう太輔に毒されてきたか、と天井を仰ぐと、太輔が
『ごめんごめん』
と囁いてきた。
『薔薇の使い道だったよね。色々あるよ。ドライフラワーにしちゃったらそのまま飾れるし、アクセサリーやキーホルダーにしたりとか。ハーバリウムにしてもオシャレだよ。あとはベタだけど…お風呂にも使えるかな』
「ドライフラワー…」
『キットが売ってるから簡単に作れるよ。渉さえよければ、明日の帰りに教えに行こうか?材料ならうちにあるし、お裾分けするよ』
「え。いいのか?」
『もちろん。その代わりといってはなんだけど…ひとつ、お願いをしてもいい?』
「え…」
少しだけ低く艶を増した声に、心臓が痛いぐらいぎゅうっとした。
お、お願い…?
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風華(プロフ) - ソフィアさん» 二人のお話を見届けてくださり、ありがとうございました。コメントもありがとうございます(*´▽`*) お互いの求めるものや背負った傷の違いが成り立たせる二人の関係を、少しでも描くことができていたら嬉しいです(^-^) (2021年5月10日 12時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - なかのさん» 最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます!更新は不定期ですが、作品の執筆自体は続けていくつもりですので、また見つけてくださった際は是非よろしくお願いします(*´人`*) (2021年5月10日 12時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - わたちゃんのピンと張り詰めて今にも切れそうなのと、たいちゃんのところどころ擦り切れてやっぱり切れそうな二人の心の糸が寄り添うことで、切れることなくしなやかに輝きを放っていくかのようなお話で素敵でした。ハッピーエンドで良かったです。 (2021年5月9日 21時) (レス) id: 06f6b1f19d (このIDを非表示/違反報告)
なかの(プロフ) - 凄く素晴らしいお話しでした。毎回更新が楽しみで夢中になって読んでいました。また、お話し楽しみにしています。 (2021年5月9日 13時) (レス) id: 3b49c20ebb (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - はしもとさん» コメントありがとうございます!今回の設定、気に入って下さってすごく嬉しいです( ;∀;) 他メンの事にも触れていただいて…yさんとわちゃわちゃお仕事してる風景を想像した時に、この二人が似合うかなあと思いました(。-∀-) いつも本当にありがとうございます♪ (2021年2月26日 23時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風華 | 作成日時:2021年2月21日 16時