ヒマワリの瞳 ページ12
次の日の太輔は朝から、いつもよりさらに機嫌が良さそうだった。
きっと植物園に行けるからなんだろうな…と思う。彼のそんな素直な反応は子供みたいで、ゆるみそうになった口元を慌てて隠した。
「曇りの予想だったけど、いい天気になってよかったね。綺麗な青空で気持ちいいね」
隣を歩く太輔が目を細めて微笑む。その表情から太輔の喜びがバシバシと伝わってきて、喉がうっと変な音を出した。何度も向けられてきた表情だけど、眩しすぎて…全然慣れない。
「渉との植物園、楽しみだな。近くに地元で有名な洋食屋さんがあるらしいから、お昼はそこにしない?」
「ああ、それ昨日スマホで見たかも。デミグラスソースが美味しいって。オムライスが美味しそうだなって思ってた」
一応、場所を調べておこうと思って検索したら、周辺の情報で出てきたお店だ。すぐにピンときた。太輔の目がきらりと輝く。
「そうそう!じゃあ、そこで決まりだね」
太輔がくしゃりと笑って、踏み出す足取りが少し軽くなった。オレの心も同じように、ふわっと軽くなる。
性格も外見も全然違うのに、太輔とは、こういうところですごく趣味が合う。相手の好みがどうとか、余計な事を考える必要がないから楽だし、一緒にいてもストレスが溜まらない。
たぶんオレ達は合うというか、人間的には結構相性がいいんだろう。
太輔と過ごす休日は、いつも楽しいから。
今日もいい息抜きができそうだと、太輔越しの明るい太陽に目を細めた。
植物園では二人並んで、ゆっくりと静かに花を見て歩いた。見るのに集中してるのか、太輔が話しかけてこなくなったからオレも自然と口を閉じる。いつもよりゆっくりな太輔の歩幅に合わせながら、目線の先の花を見つめた。
ここでも、やっぱりオレ達は合うんだなと感じた。そして、ほんの少し嬉しくなる。
ペースは太輔に合わせてるから、オレのペースではないんだけど…不思議と、遅く感じたり退屈に思ったりすることがない。会話もないのに、気まずくならない。
薔薇のプレゼントや大きすぎる好意に困惑しつつも付き合いを続けてるのは、彼とのこんな時間が心地いいからだ。
愛を伝えてこられるのは、相変わらず苦手だけど。
でも不思議と、次の日も戸惑いながら彼の好意を受け入れてしまう自分がいるのも事実で。
花瓶は増えていくけど、迷惑だからやめてくれ、関わらないでくれとまでは、どうしても思えないのだ。
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風華(プロフ) - ソフィアさん» 二人のお話を見届けてくださり、ありがとうございました。コメントもありがとうございます(*´▽`*) お互いの求めるものや背負った傷の違いが成り立たせる二人の関係を、少しでも描くことができていたら嬉しいです(^-^) (2021年5月10日 12時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - なかのさん» 最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます!更新は不定期ですが、作品の執筆自体は続けていくつもりですので、また見つけてくださった際は是非よろしくお願いします(*´人`*) (2021年5月10日 12時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - わたちゃんのピンと張り詰めて今にも切れそうなのと、たいちゃんのところどころ擦り切れてやっぱり切れそうな二人の心の糸が寄り添うことで、切れることなくしなやかに輝きを放っていくかのようなお話で素敵でした。ハッピーエンドで良かったです。 (2021年5月9日 21時) (レス) id: 06f6b1f19d (このIDを非表示/違反報告)
なかの(プロフ) - 凄く素晴らしいお話しでした。毎回更新が楽しみで夢中になって読んでいました。また、お話し楽しみにしています。 (2021年5月9日 13時) (レス) id: 3b49c20ebb (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - はしもとさん» コメントありがとうございます!今回の設定、気に入って下さってすごく嬉しいです( ;∀;) 他メンの事にも触れていただいて…yさんとわちゃわちゃお仕事してる風景を想像した時に、この二人が似合うかなあと思いました(。-∀-) いつも本当にありがとうございます♪ (2021年2月26日 23時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風華 | 作成日時:2021年2月21日 16時