My_Love・8(y視点) ページ44
side(y)
静かに、息をはき出す。
「…オレがいま好きな人は、この間までとは違う人なんだ」
太輔の目が大きく開かれる。
「意識しだしたのは最近なんだけど…いまは、その人が好きで。それで、その恋もやっぱり、叶わないんだけど…困らせるのも、わかってるんだけど…」
太輔がオレを見つめているのが、目を伏せていてもわかる。
振られるための告白。
指先がひどくつめたい。
声が震えそうになるのを必死でおさえて、また息をはいた。
「太輔。オレ…」
「……なに、それ…」
覚悟を決めて顔をあげたところで、オレの言葉を遮るように太輔がつぶやいた。
太輔の目が、するどくオレをとらえている。
「…今度は、だれなの」
「えっ?」
「だから、今度はだれ。ニカ?…ああ、でも叶わない相手なんだっけ。じゃあまさか、タマ?」
「え…裕太?…なんで、違う…」
なんで、ニカや裕太がでてくるんだろう。
太輔がどうしてそんなことを言うのか、わけがわからなくて戸惑っていると、太輔が唇を歪ませて笑った。
「最近よく一緒にいたもんね。今日だってニカと抜け出してたし。…そういうことだったんだ」
口元だけを笑みの形にした太輔が、なんだかこわい。
オレをにらむ目はぎらぎらして、声も、言い方はおだやかなのに、すごくつめたい。
「……わた。なんで?」
「えっ?」
「なんで…また俺じゃないの…」
太輔が、顔をぐしゃぐしゃに歪ませて震える。
「俺だってずっと渉のそばにいたじゃん。ニカやタマや…北山よりもずっとずっと、俺のほうがそばにいたじゃん。なのに、なんでっ」
その言葉に、こおりついた。
「北山…って、太輔、なんで…」
オレの好きな人を、知ってた…?
自分がなにを言ったかに気づいたのか、一瞬はっと息をのんだ太輔だったけれど、その表情はすぐに怒りへと変わった。
鋭くつりあがった瞳がオレをにらみつけてくる。
「っ知ってたよ!だって、渉のこと何年見てきたと思ってるの。わたがずっとだれを見てたかなんて、教えてもらわなくたって知ってる…!」
しんと静まり返って、太輔の荒い呼吸だけが響く。
迫力にのまれて言葉を失っていると、太輔がゆらりと立ち上がった。
「っ、もう…いい…」
「えっ、まって太輔っ」
太輔に向かって伸ばした手を、ぱしんと払われる。
「たいす、…」
「最悪。……来るんじゃなかった」
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風華(プロフ) - なゆきすさん» はじめまして(*^^*)コメントありがとうございます♪らしさが出せてますか!すごく嬉しいです(つω`*)キュンキュン、悶絶してくださって、本当にありがとうございます(*´人`*) (2016年12月1日 0時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
なゆきす(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!先日こちらの作品を見つけて一気に読ませて頂きました!わたたいの言動からもお互いを想う気持ちが伝わってきて切なくもキュンキュンさせて貰いました!他のCPも驚くくらいらしさが出ていて、可愛くて悶絶しました。゚(゚´ω`゚)゚。 (2016年11月30日 7時) (レス) id: 3a98101b3e (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - (*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ みんなの思いに答えをつけて、どっちかわからないという状態は避けました。最後までお付き合いくださって、ありがとうございますー(つω`*) (2016年10月27日 14時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - ハッピーエンドに拍手〜。皆に幸あれですね\(^^)/ (2016年10月26日 20時) (レス) id: da0698ca24 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - のあじさん» 最後まで見届けてくださって、ありがとうございます!長いあいだ、それぞれにつらい思いをさせてしまったのですが無事にみんなハッピーエンドで終わることができました。きっとこのあとは、周りが胸焼けするほどイチャイチャしてくれていると思います(*^^*) (2016年10月26日 1時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風華 | 作成日時:2016年9月23日 13時