My_Love・7(y視点) ページ43
side(y)
テーブルに戻ったら、すでに二人は帰ったらしく、太輔だけが残っていた。
緊張で震えそうになる手を隠しながら、太輔の目の前に座る。
「た…太輔」
呼びかけると、太輔の目がオレの方を向いた。
そこに感情はない。
「その。…避けてて、ごめん」
太輔が軽く目をみはってから、首を横に振った。
その唇が小さく開かれる。
「俺が、わたの気持ちを利用してたのが悪いから…いつ、いやだって拒まれても、不思議じゃなかったんだし」
「利用?」
「わた、オレが甘えたいって言ったからつき合ってくれてたでしょ、ずっと。俺とキスなんて、本当はしたくないのに、俺が寂しいって口にするから断れなかったでしょ?」
「それは…」
「だから拒否されたときも、ついにこの日が来ちゃったなって思っただけだよ。いつか拒否される日が来るのは覚悟してたし、呆れられたってしかたがないから」
「待って、違う…。太輔は悪くなくて、今回のはオレの気持ちの問題で…」
太輔の言葉はあたってる。
あたってるけど、今回オレが太輔との距離をおいたのは、それが原因じゃない。
「え…?」
太輔が目をパチパチ動かして、オレをじっと見つめる。
「…俺に、呆れてたんじゃ、ないの…?」
「呆れる?太輔に?なんで?」
「…だって、強引に迫ったようなものだったし」
「寂しくて、オレを頼ってくれたんだよね?嬉しかったよ。オレは、太輔の気持ちが楽になるならキスくらい平気だったし、それに……太輔のキスはいつも優しかったから…その、気持ちよかったよ」
「……そう…」
そうつぶやいた太輔の顔が、泣いているみたいに見えた。
ぎゅっと胸がきしむ。
「だったら…わた…」
「うん?」
「なんで、この前…もう俺とキスしないって、言ったの」
ぎくりとした。
やっぱり…言わないわけには、いかない。
「太輔は…いま好きな人を忘れて、他の人を好きになることって、ありそう?」
「ないよ」
即答だった。
「…そ、う。ないんだ…」
「うん。ぜったいに、ない」
迷いのないまなざしでじっと見つめられて、泣きそうになる。
わずかな望みをたくして聞いてみたけれど…やっぱり、ダメだった。
太輔が、ふっと口元をゆるめた。
「でも、どうしたの。突然そんな話するなんて」
痛い。
でも、言わないと。
明日からまた太輔と笑い合えるように。
好きな人から、大事なメンバーに戻れるように。
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風華(プロフ) - なゆきすさん» はじめまして(*^^*)コメントありがとうございます♪らしさが出せてますか!すごく嬉しいです(つω`*)キュンキュン、悶絶してくださって、本当にありがとうございます(*´人`*) (2016年12月1日 0時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
なゆきす(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!先日こちらの作品を見つけて一気に読ませて頂きました!わたたいの言動からもお互いを想う気持ちが伝わってきて切なくもキュンキュンさせて貰いました!他のCPも驚くくらいらしさが出ていて、可愛くて悶絶しました。゚(゚´ω`゚)゚。 (2016年11月30日 7時) (レス) id: 3a98101b3e (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - (*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ みんなの思いに答えをつけて、どっちかわからないという状態は避けました。最後までお付き合いくださって、ありがとうございますー(つω`*) (2016年10月27日 14時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - ハッピーエンドに拍手〜。皆に幸あれですね\(^^)/ (2016年10月26日 20時) (レス) id: da0698ca24 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - のあじさん» 最後まで見届けてくださって、ありがとうございます!長いあいだ、それぞれにつらい思いをさせてしまったのですが無事にみんなハッピーエンドで終わることができました。きっとこのあとは、周りが胸焼けするほどイチャイチャしてくれていると思います(*^^*) (2016年10月26日 1時) (レス) id: 1b2af6d73b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風華 | 作成日時:2016年9月23日 13時