Last_Lover

My_Love・6（y視点） ページ42

side(y)


「…わったー。わったー達の雰囲気が悪いの、スタッフからも不思議がられてるって気づいてる？」

「え。そう、なんだ…？」

「とにかくさ。もう告白しろとかまでは言わないから仲直りだけはしてよ、お願いだから」


　裕太がはあーっと肩を落とした。


「言わせてもらうけどさ、二人の空気が悪いせいで楽屋の雰囲気がいつもと違うの、わったーだって気づいてるでしょ？いつも周りをよく見てるわったーが気づいてないわけ、ないよね？」

「それは、うん…ごめん…。このままじゃいけないのは、わかってるんだけど…」

「ならよし。ちゃんと話し合ってね？」

　腰に手をあてて、うんうんとうなずく。裕太のおだやかな瞳が、笑いかけてきた。


「じゃ、オレと宮田は帰るけど、ガヤとちゃんと仲直りしてね」

「え。帰るの？」

「うん。あと、お会計は宮田が済ませとくから気にしなくていいよ」

「えっ。…いいよ、自分の分は払う…」

「いいから。そのかわり、今日中にぜったい仲直りして。いつもの二人に戻るまでは、帰っちゃダメだからね？」

　びしっと人差し指を突きつけて、去っていってしまう。


　取り残されて、急に体が冷えた気がした。


　いつものオレ達に、戻る。

　できるのかな。


　太輔に、避けててごめんって、まずは言わないと。

　あとは、その理由も…たぶん、会話の流れによっては、言わなきゃいけない。
　そうしないと太輔は納得してくれないだろうし、原因を言わないままじゃ余計に怒らせてしまう。


　太輔が好きって、やっぱり言わなきゃいけないのかな。

　太輔はやさしいから、たぶん、あからさまに避けたり気持ち悪がったりは、しない。ぜったい、そんなことはしない。

　だけどそのぶん、困らせて、悩ませてしまうことになる。

　オレのせいで、太輔の顔を曇らせたくはないのに。


　不安と、こわさと、緊張で、座席に戻る足が鉛みたいに重かった。

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