Last_Lover

Strawberry_Dance・2（t視点） ページ33

side(t)


　次の日、雑誌の企画でわったーとのツーショット撮影があった。

　これはチャンス！

　なんとしてでも、この時間にわったーから聞き出さないと。

　カメラマンさんにもう少し寄ってくださいって言われたから、遠慮なくわったーに体を寄せた。
　これで話がしやすくなる。

「ねーわったー」

　待機してるメンバーやスタッフに聞こえないように、ひっそり話しかける。

「わったーさ、一昨日ぐらいにガヤとケンカでもした？」

　わったーの肩がびくっとした。

　でも、なにも返ってこない。

「ぜんぜんしゃべってないし、一緒にいないじゃん。なんで？」

「…裕太。撮影中」

「知ってるよ。でも、いまぐらいしかわったーと二人でしゃべる機会ないからさ。わったーだって、こういうこと、みんなに聞こえてるときに言ってほしくないでしょ？」

　ふう、ってため息をつかれた。

「ガヤはケンカしたわけじゃないし、わったーが怒ってるわけじゃないって言ってたけど、実際はどうなの？」

「…太輔にも聞いたのかよ」

「聞いたけど、それ以上しゃべってくれなかった。だから、わったーに聞こうと思って」

「しゃべらないってことは、言いたくないってことじゃないの？」

「そこなんだよ。なんで言いたくないの？」

　ケンカしたならケンカしたって言えばいいじゃん。内容までこと細かに教えろって言ってるんじゃないんだから。

「ケンカでもない、片方の機嫌が悪いわけでもない。でも本人達はギクシャクしてるって、どう考えたって変じゃん。理由だって知りたくなるよ。ガヤなんて、あからさまに落ち込んでるじゃん」

「それは…」

「二人のこんな状態がいつまでも続くと困るんだよね。他のみんなだって口には出さないけど気づいてるよ。気だって使うし、メンバーみんながギクシャクするじゃん」

「それは…うん。ごめん。オレのせいだから」

　…あれ？

「わったーのせいだったの？」

「…うん」

「ガヤじゃなくて？」

「太輔はなにもしてない。オレが、原因だから」

　ちらっとわったーの顔を見ると、昨日のガヤみたいな沈んだ表情をしてた。

　続いて、待機してるガヤを見る。
　ガヤはみんなの輪の中には入ってるけど、だれともしゃべってない。
　小説を広げてるけど、あれはポーズ。ぜったい読んでない。あのどんよりした目は本を読んでる目じゃない。

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